諜報活動の2
大残業期間、爆走中です。短い更新が続きますが、どうぞよしなに。
それから男爵こと明石大佐は、俺たちをつれてカジノにオペラ。サロンにキャバレーと、考えつく限り遊びたくってくれた。
しかしまあ、よくぞそこまで金が続くものだと思うが、カジノで稼いでオペラで散財。
しかしオペラで知り合った客をカジノへ誘い、カモとしてお出迎え。
ところがこのカモ氏、再度男爵と会うと必ずカジノでの勝負を挑んで来るのだ。
「何故だかわかるかな、大矢くん」
わかる。
パリ来訪当初の俺にはわからなかっただろうが、散々遊びにつき合わされ、その行動を逐次観察していた俺にはわかる。
「カジノでカモにした後、キャバレーで接待するからですね?」
男爵とキャバレーのショーを楽しむ者は、みんな大喜びして帰る。彼は接待上手なのだ。
しかし、及第点という微笑みを、俺に向けてきた。
「違うな、大矢くん。僕がカジノに誘う人たちは、当たり前にキャバレーのショーを楽しめる身分の人たちなんだ」
じゃあ、何故明石男爵にカジノで再戦をいどむのか?
「それはね大矢くん、彼等は僕との勝負が、楽しくて仕方ないからなんだよ?」
そう言っている間に、男爵の知り合いが声をかけてきた。
男爵は談笑する。
そして「またカジノで遊ぼう」と約束した上で、知り合い氏は去っていった。
「今の会話の内容がわかるかな?」
わかる訳がない。
カモ氏は、商いいかがですか? ボチボチでんな。程度の会話しかしていない。
「だめだな、大矢くん。彼は乾パンの製造業者で、いまや売上が絶好調な男なんだよ?」
乾パン?
絶好調?
それが何故ダメ出しに繋がるのか、まったく理解できない。
「大矢くん、彼の商い相手が誰か、知っているかい?」
「わかりません」
「帝政オロシヤ帝国だよ」
そのオロシヤが乾パン製造業者と、なんの関わりが?
「つまりね、オロシヤに乾パンが入るということは、軍が携行食の準備をしているということさ」
「なるほど、オロシヤは大規模作戦の準備中、ということですね?」
「では何故、大規模作戦を準備しなければならないのか?」
「え?」
男爵は俺の耳元に、口を寄せてきた。
「リョジュンが陥落する。もう間もなくだ」
男爵の予言が当たったのは、それから一週間後のことだった。




