表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
こんとん大戦  作者: 寿
39/68

月曜☆ちゃぶ台劇場

月曜☆ちゃぶ台劇場


 またまたやってきた月曜日。

 さて今日はどの角度から、ちゃぶ台劇場の告知が来るものやら。

 部屋を出る。

 ふすまを閉めて、もう一度開けてみる。

 部屋の中に、輝夜がいた。

「大矢どの、お仕………」

 ふすまを閉めた。

 みなまで言わせるつもりは無い。

 階段を降りて、居間へ。

 障子にポニーテールの横顔が、影絵となって映る

 偶然そばにあった吹き矢を吹いた。

 毒針は障子紙を貫通して、影の首筋に刺さる。

 ウッと一言。

 影は倒れ込んだ。

 運が良かった。たまたまマダラチンチョウゲのしびれ毒を含んだ、吹き矢があって助かった。

 さて、残るは咲夜と瑠璃か。

 俺は警戒心を最大値まで引き上げた。

「ただいまぁ、いま帰ったんよ」

 咲夜の声だ。思わず玄関をのぞき込む。

 咲夜と目が合った。

 咲夜は俺と目を合わせたまま、後ろ手に引き戸を開け、外に出ると戸を閉めた。

 おい、それでいいのか。

 見せ場のひとつも作らなくていいのか。

 そんな根性では、ちゃぶ台劇場は乗りきれんぞ。

 そう思った瞬間だ。

 背後に気配が!

 しまった、瑠璃かっ!

「………………………………」

「なにか喋ろよ、おい」

「………お仕事です」

「しまった! ちゃぶ台劇場の開幕だっ!」

 こうして今週も、月曜☆ちゃぶ台劇場は開幕した。


 ちゃぶ台の上にマイクがひとつ。

 緋影と出雲鏡花が、並んで座っている。

「人生をしくじってしまった読者のみなさん! 憂鬱な月曜日が来ましたよ♪ ぱーそなりてーの天宮緋影です♪」

 いきなりカマすか、我が妹よっ!

「うつむきがちな人生しか送れない読者のみなさん! わたくしだけはみなさんの味方、出雲鏡花ですわ!」

 嘘をつけ! いや、嘘をつくなっ! お前の笑顔は新月の闇よりも真っ黒だろうがっ!

「さあ鏡花さん、本日のお題を………どうぞっ!」

「ちゃらん♪ みんながジャンプになびいてた時、ちゃぶ台劇団はチャンピオンを読んでいた! ですわ♪」

 たのむから、危険球だけは投げないでくれよ。

 俺は祈るような思いだったが、この祈りは神には届かないだろう。

「まずは『とり・みき』先生の逸品、バラの進さま♪」

 いきなりキビシイ角度から攻めてきたな、おい!

 お兄さん初回からハラハラドキドキだぞ!

「こちらの作品紹介ですわね」

 まて! やめろ! いかに世間の理解を得られるようになった御時世でも、なかなか刺激的な設定だぞ!

「………世間にはパタリロという先駆者がいましたわね。開拓者たちに熱い拍手を」

 使鬼たちと忍者から、熱い拍手が送られた。

 というかこのちゃぶ台劇場、客は俺以外「人外」ばかりだな!

「鏡花さん、とり先生はこの作品のあと、『るんるんカンパニー』や『くるくるくりん』で躍進するんですね?」

「鬼才と呼ぶに相応しい方ですわ」

「それでは次、小山田いく先生の『すくらっぷ・ブック』ですわ」

 とり先生のあとにいく先生か。

 お前ら、なにか悪意を秘めていないか?

「おぉ、思春期(グリーンエイジ)グラフィティ! 可愛らしい絵柄ですねぇ」

「当時のマンガはコマ割りが非常に細かいというのが特徴ですわ」

「………鏡花さん」

「なんでしょう、緋影さま………」

「私たちも、この頭身になってみましょうか?」

 できる訳がないだろ、どう考えても。

「よろしいですわ」

 できるのかよ!

「せ~~の………ポン!」

 なるなよ本当にっ!

「ふふふ、鏡花さん。私たちは振り袖に袴の女学生」

「制服の着脱には苦労がありませんのよ?」

 それは主人公くんがTシャツを着るというネタが、本編で炸裂しておろうが!

「その他にも、熱笑!! 花沢高校」

「50メートルパンチとめり込みキックですわね」

「千代の介が来た!!」

「ちょっぴり時代がさかのぼりましたわね」

 つーか男度数が跳ね上がったぞ、火を見るより明らかに。

「プラレス三四郎などもありました」

「1、2の三四郎と勘違いされましたわね。あちらも名作ではございますが」

 つーかアニメ化された作品だな。

「そしてやはりこの作品でしょう! 鏡花さん、よろしく!」

「じゃん♪ 風雲プロレス30年ですわ!」

 男度数こえて侠度数を振り切ったぞ! メーデー! メーデー!

「原作担当が、あの方の実弟ですからねぇ」

「梶原一騎先生の実弟、真樹日佐夫先生ですから。惜しいことに両先生方、すでに鬼籍に入られてますわ」

「あの事件があった当時、この事件があった当時の連載ですから、生々しい歴史です」

「現代の若者には、生では危険すぎますわ。少し水で薄めた方が、よろしいかと」

 あのさ、ドカベンとかブラック・ジャックとか紹介しないの?

「それではそろそろシメに入りましょう!」

「出雲鏡花、自然石手刀割り、いきますわっ! えいっ! ボキッ」

 出雲鏡花は病院に運ばれた。

「天宮緋影、タム・ライスを仕止めた三角飛び、いきます! やっ! ツルン、ゴチン」

 足を滑らせた緋影は柱に頭から激突。病院に運ばれた。


 悪は滅んだ。

 しかし落ちネタ以外のオチで、世界に広がりを持たせてくれたのだ。

 尊い犠牲である。

 そして残された俺は、あえてこの場で次回予告をさせてもらう。


次回予告!

 未定です!


 よし、やりきったぞ。



今回のちゃぶ台劇場を製作中、小山田いく先生の訃報にはじめて触れました。


心よりおくやみを申しあげます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ