第5話・ゴブリン・デリート・プロジェクト
「隠密スキルカンストさせた俺、異世界生活始めました」
第5話です‼︎
サブタイトルはあんまりあてになさらず(笑)
テリシア可愛いよテリシア‼︎
よろしくお願いします‼︎
「ギャハハハハハ‼︎ まじかケイジ‼︎ 来ていきなりテリシアを手玉に取るたあやるじゃねえか‼︎ しかも揉めた相手があのケルートだって? お前最高だわ‼︎」
賑わう通りの脇で、緑のゴブリンが笑う。
え?今?
うん、今は見て分かる通り。
ゴブリンと始める異世界生活なう。
ああ………、なんでこんな事に………。
いや、聞いてくれよ。
さっきまで時間潰そうと思って街をぶらぶらしてたんだけどさ?
何故かまたこのアホゴブリンに会っちゃってさ?
うるさいわけよあの後どうなったかって。
で、説明したらこのザマ。
そう、テリシアが面倒な勘違いをしたこと、ワンちゃんに絡まれたこと、そして今日の夜にテリシアの家に行くことになったこと。
めっちゃ煽ってくるんだけどこいつ。
うん、本人には自覚ないかもしれないけどさ?
それは俺らの世界ではとてもイラつく行為なんだよ?
「いや、笑い事じゃ無いって………。別に変な事する気なんて無いし、トラブルもごめんなのに………」
まったくだ。
ただでさえ最初の仲間がゴブリンというスタート直後にエンジンから出火した気分だってのに、これ以上俺のSAN値を削らせてたまるか。
え?
主人公だったらヒロインにまとわりつくモブは必須?
いや、なんで俺が主人公って前提で話すん?
だったら最初の仲間はボインのダークエルフにしてくれよ。
………。
待て待て待て待て‼︎
その電話を置けって‼︎
ただの冗談だから‼︎ な?
そんなの本気にしないでくれよ嫌だなあ。
………うん。
とりあえず、現時点じゃ俺が主人公だって可能性は無いに等しいんじゃないかな。
「でもなあ、気をつけろよケイジ?ケルートのヤツ、テリシアのことになるとマジでやべえヤツだからよ。前にもテリシアと仲良くしてたエルフの男ボコりやがったし、今に襲うんじゃねえかって噂されてるからよ」
若干真面目な顔で、そう警告するガルシュ。
サイコ野郎ですね分かります。
向こうにもそういうやついましたから。
怖いねえ。
どこの世界にもいるんだねそういう奴って。
恋ってのは本当に人を狂わすものだよ。
そう思うだろ?
え?これからしばらくテリシアの事見てろって?
そりゃまたなんで?
ケルートが?
そのうちテリシアを襲うから?
それをいい感じに助けてそのままベッドイン?
いやだからなんでそっちの方向に持ってこうとするんだよお前らは。
そういうのは俺じゃなくてラブコメの主人公に頼めって。
………まあ、あのワンちゃんが何かしそうなのは確かだし。今回ばかりはそうしてみるか。
「分かった、気をつけるよ」
ん?
その前に聞きたいことがある?
なんだ、言ってくれ。
もしケルートが襲いかかって来たら勝てるか?
………そんなことかい。
お前らさ、何故か俺のことバカにしたように絡んでくるけどさ?
俺これでも伝説の殺し屋だからな?
自分で言うのもアレだけど。
あんなワンちゃんに負けたらブラックの名が廃る。
魔法やら特殊能力やらがあったとしても負ける気がしないね。
あ?ナルシスト乙?
………お前ら本当にぶっ飛ばしてやろうか?
まあ無理だけど。
何にせよそれなら問題無い。
あんなの余裕。
「じゃあな‼︎ 何か進展あったら教えてくれや‼︎ ギャハハハハハ‼︎」
またいつものふざけた顔に戻り、デカい声で笑うガルシュ。
うるせえ‼︎
さっさと消えろこのモブ野郎‼︎
お前そのうち作者に掛け合って出番なくしてやるからな‼︎
ようやく鬱陶しいゴブリンは去っていった。
さてと。
ん?今?
今は午後6時。
あと2時間くらいか。
まあ、とりあえず時間までギルドでゆっくりしてようか。
ん?どうかしたか?
ああ、これからどうするかって?
さっき言わなかったか?
まずは衣食住を揃える。
ああ、その後の話か。
………その後、か。
どうしようか………。
なんか、正直戻る必要もないかも知れないな。
何でって?
だって、戻ったところで結局同じように殺して休んでの繰り返しだろ?
せっかくの短い人生なんだから、いろんなことやりたいじゃんか。
じゃあこの世界で新しく始めればいい?
へえ、珍しく的確な助言してきたな。
よし、じゃあこうしよう。
まず、衣食住を揃える。
そのあとは、この世界で快適に過ごす為のモノを集めていこう。
例えば?
そうだなあ、財産、カリスマ、地位などなど。
どれもあれば便利なんだよ。
え?
1つ足りないって?
そりゃ何だ?
………は?
可愛い嫁さん?
あのなあ、だから俺は………。
いや、いつまでも気にし続けるのもナンセンスか。
よし、いいだろう。
気が向いたら、ほんとに気が向いたらだぞ?
本当にいい子が見つかったら、それも考えておいてやろう。
はい、この話はここまでだ。
あとは、テリシアとの時間までゆっくりしていよう。
ギルドは夜でも明るく賑わいを見せ、圭二はその雰囲気をしばらく楽しんでいた。




