表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
41/105

収穫祭デート? その3

「隠密スキルカンストさせた俺、異世界生活始めました」

番外編第3話です。

デート楽しんでますねぇ。死ねばいいのに。

よろしくお願いします‼︎


「ほら、エルちゃん行くよ! 邪魔しちゃダメ!」


「ああ〜ご主人〜!」


結局、テリシアの強い要望でブエルはメルたちに連れて行ってもらうことになった。まあもちろんブエル本人は最後まで嫌がっていたが、なんだかんだで了承してくれた。


「じゃ、2人ともまたねー」


「うん! ジークさんも、またギルドで!」


「おう。ケージ、デート楽しめよ」


「うっせ。お前もな」


軽く言葉を交わして3人と別れる。


「さてと、とりあえずお買い物したいのでお店を回ってもいいですか?」


「ん、いいぞ」


テリシアに手を引かれ、色々な店を回る。

知ってる店、知らなかった店。知ってるやつの出店に屋台。仲間たちのオフの姿を見るのもなかなか楽しかった。


「はい、じゃあ今日の夜に届くようにお願いします」


少し疑問に思っていたのだが、さっきからテリシアは店で何かを買った後決まって商品を受け取らずにどこかに送る話をしていた。


「なあ、テリシア。買ったものはどうしてるんだ?」


「あ、買ったものは今日帰ってから届くようにお願いしてます。無料で宅配までやってくれるお店がほとんどなんですよ」


「へえ〜。……ん? そ、それって俺来る意味あったのか?」


荷物持ちの役はいらないのに来る必要があったのかと疑問になった。


「ありますよ! だってケージさんと一緒に回りたかったんですもん。せっかくクロメさんに浴衣も頂いたんですから」


「そ、そうか」


面と向かってストレートに言われて、小っ恥ずかしくなる。

なんかほんとに当初とキャラ変わったよな。


え?

その方がいいだろって?

いや、どういう意味だよそれ……。

別に嫌だなんて言わないさ。どんなテリシアでも俺は好きだ。


っておい、なんて顔してるんだよお前ら。

お前らはテリシアのパパか。


「さて、必要なものと欲しかったものは全部買えました。ケージさんはどこか行きたいところはありますか?」


「ん〜……。なんともなぁ。いまいちどんな店があるかも分かってないし」


正直な話テリシアとデートできてるだけでお腹いっぱいです。


「それなら、ぶらぶらしながら面白そうなお店があったら寄ってみましょうか」


「そうだなー」


好きな相手と手を繋いで、綺麗な浴衣に身を包んで、ちょくちょく会う気の良い仲間たちと言葉を交わしながら回る収穫祭。

まさにアニメみたいな状況だ。

本当に、幸せだなぁ……と心から思う。

俺がこんなに幸せでいいのかって思うくらいに。

運命がバグでも起こしてるんじゃないかってくらいに。

そうでもしなきゃ、俺に都合が良すぎる気がした。


それからは、話した通りに色々な店を回った。

綺麗なアクセサリーショップでは揃いのブレスレットを買って、身につけて2人で笑った。

クロメたちがやっていたおみくじ屋では俺もテリシアも大吉で、きっとこれからも楽しくやっていけるって安心した。

ガルシュの焼肉屋では串焼きを買って食べて、テリシアの食べ方がどうにも下手で笑った。口の周りについたタレを何回も拭いてやった。


歩き疲れて、広場で座ってしばらく話していた。

仕事のこと、ジークやメルたちのこと、俺の知らない外の国のこと、そしてこれからのこと。


「幸せだなぁ……」


思わず呟いたのはケイジだった。

そしてその呟きをテリシアが拾う。


「……そうですね」


「俺さ。やっぱり、こっちの世界に来てよかったよ。心からそう思う」


「私も、ケージさんが来てくれて本当によかったです。これからも、よろしくお願いしますね」


まるで告白みたいだった。

夕陽に照らされるテリシアはすごく綺麗で、思わず目を細めてしまった。オレンジに染まる街の風景と合わせれば1枚の絵画のようにも見える。

つい恥ずかしくなって、話を変えようとする。


「この後は、何か予定はあるのか?」


「あ、はい、ありますよ。もう少しすれば、港の方で花火が上がるんです」


「花火、か。懐かしいな」


向こうの世界にもあったが、それこそ祭りなんかには行ってなかったから見るのはかなり久しぶりだ。


「あ、だったらあれ使ってみるか」


「え? あれっていうのは?」


「ん、ちょっと待ってろ……」


右手に軽く魔力を集め、魔法陣を浮かび上がらせる。するとそこからテリシアの家に置いてあった飛行用の絨毯が現れた。

それをバサッと広げて、全体に馴染ませるように魔力を込めていく。


「え、も、もしかしてケージさん……?」


「もう少しで始まるんだろ? せっかく花火見るんだから高いところから見なきゃな!」


強引にテリシアを引っ張って絨毯に乗せる。


「ほら、しっかり掴まってろよ! 飛ばすぜ!」


「ひゃああああああああああああ‼︎」


暗くなり始めた空に、テリシアの悲鳴が響いていった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ