第33話・悪魔の囁き(物理)
「隠密スキルカンストさせた俺、異世界生活始めました」
第33話です‼︎
ブエルちゃん、ライオン娘でめっちゃ可愛いです。
本家の見た目はエグいですはい。詳しくはググってください。(注、イメージ崩壊の危険があるのでご注意を)
よろしくお願いします‼︎
「ん……」
「あ、やっと起きた。おはよう」
ケイジが目を覚ましたのは、見覚えのない橋の上のような場所だった。
体の痛みは無かった。
軍と戦っていたことも、ローブの男に殺されたことも覚えている。
そして目の前にいる、ケイジに話しかけてきたのはライオンのエリーンのような少女だった。
見た所年齢は20を超えたくらいだろうか。
テリシアより大人に見える。
え?おっぱい?
あ〜、たぶんDくらいあるんじゃないか?
聞いてない?
あ、そう。
「何だ……? どこだここ? お前は?」
キョロキョロと辺りを見渡す。
橋の下は霧がかかっていて、底が見えない。
橋の先も後ろも、終わりは全く見えなかった。
空は無機質な白。自然のような感じは全くせず、人為的な何かのようだった。
少女が近づいてくる。
「ケイジくん、自分が死んだこと覚えてる?」
手を差し出しながら平然と言う。
ああ、やっぱり死んだんだね俺。
いや、そりゃあ確かにあの戦いは無茶だと思ったけどさ?
どうなん?主人公死んだんだぞ?
え?俺は主人公じゃないだろって?
あ〜、なんかややこしいな。
まあそうかもしれないけどさ?
颯来さんいいんですか?
話終わるぞこれ。
え?俺がいなくても進むからいい?
やめてくれ泣くぞ本当に。
どうするんだよこれ……。
少女の手を借り、立ち上がる。
「ああ、覚えてる。って事は、ここは天国かどこかなのか?」
1番最初にそういうのは信じてないって言っただろって?
いやまあ言ったけどさ。
死んだ後こんなところにいるって事はあるんじゃないのか?
「うーんと、正確には違うね。このずっと先に天国と地獄の入り口があるから、ここはまだグレーゾーンって感じかな」
うーむ……。
ツッコミどころが多すぎて何ともなあ……。
まずさ。
何で俺こんなところにいるんだ?
三途の船で落とされたのか?
あとこの子何?
獣っ子だから何でもオッケーとか思っちゃダメだぞ?俺との約束だ。
悶々とするケイジを見かねてか、少女が再び口を開く。
「あ〜、とりあえず自己紹介しよっか。私はブエル。ソロモン72柱の悪魔の1人だよ」
獣っ子はそう言ってニコッと笑った。
うん、可愛い。
普通に思考が追いつかない。
悪魔?悪魔って悪魔?悪魔ってあのデビル?
「ぜ、全然よくわかってないみたいだね……」
呆けたケイジの間抜け面を見て、少女が苦笑いする。
「詳しく説明すると、ケイジくんは死にました。で、このまま行けば地獄か天国に行って終わり、だったんだけど。それだとちょっと困るから私が馬車から引っ張り出したの」
色々と説明してくれたが、ケイジの表情は変わらない。
いや、引っ張り出したの。じゃないよこの子。
何てことしてくれてんだほんと。
俺、成仏も何も出来ないってことだろ?
「ひ、引っ張り出した?」
何とか冷静になりつつ、尋ねるケイジ。
「うん。ゲートまで行っちゃったら間に合わなかったけど。だから、まだケイジくんは生き返るチャンスがあるってこと」
「な、本当か⁉︎」
思わぬ言葉についつい興奮気味になるケイジ。
そして、少女はニヤッと嫌な笑みを浮かべる。
「本当本当〜。私これでも結構偉いし、まだゲートくぐってなければ生き返らせられると思うよ。た、だ、し……」
うっわすごい悪い顔。
何企んでるんだこの獣っ子。
「私のお願いを聞いてくれるなら、生き返らせてあげる」
「お、お願い?」
「うん。私、地獄での暮らしに飽きちゃって。自分の本当の姿も嫌いだし。だから、誰かに召喚と契約してもらって下の世界で暮らしたいな〜って思ったの」
「で、その契約者に俺がなれと」
「ご名答‼︎ ね? 悪い条件じゃないでしょ?」
眩しい笑顔でぐいぐいとすり寄ってくる悪魔ちゃん。
セールスマンかこの子は。
確かに、理にはかなってるし生き返ることができるのならそうしたい。
が、悪魔と契約なんてのはハイリスクすぎるんじゃないのか……?
いやでも生き返れるなら……。
ウンウン唸るケイジ。
そしてついに。
「ねえ……。ダメ……?」(涙目&上目遣い)
「よし分かった。契約しよう」
「やったあ‼︎」
…………。
やめて‼︎ そんな目で見ないで‼︎
だってしょうがないじゃない‼︎
あんなの反則だって‼︎
はあ、やっちまったなあ……。
嬉しそうにはしゃぐ少女を横目にため息をつく。
すると段々と白い空が黒ずんでくる。
「何だ?」
「あ、もうこんな時間。じゃあ戻ろうご主人。早くしないと次の魂たちが来ちゃう。見つかったら連れてかれちゃうよ?」
「あ〜、なるほど。じゃあ頼む」
「オッケー。じゃあ目を閉じて」
言われた通りに、目を閉じる。
すると、少しだけ体が浮かび上がるような感覚がした。
ああ、我ながら軽い判断だったかな……。
でもまあ、獣っ子にご主人、か……。
いいね‼︎




