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第22話・日の出

「隠密スキルカンストさせた俺、異世界生活始めました」

第22話です‼︎

いやあ、ハクちゃんマジ可愛いprprしたいですね。

はいそうです、私はロリコンです。(真顔)

よろしくお願いします‼︎


現在時刻は午前4時。

ハクは背中で爆睡中。


「なあ、ブラック。お前、この世界に友人とかいるのか?」


隣を歩くクルーガーがそう尋ねる。


「ああ、もちろん。天然のヒューマンに、テンション高いエルフの姉妹、あとめっちゃうるさいゴブリンとか」


いや、訂正。

ゴブリンは友人じゃない絶対に。


「そうか。なんか、濃ゆいメンツだな」


「はは、違いない」


苦笑いするクルーガーにそう返す。


「大丈夫だ。俺でも馴染めたんだ、お前ならすぐ仲良くなれるって」


「……いや、そうじゃなくてな」


クルーガーは困ったような表情を浮かべた。


「……怖いのか? また自分を見失うのが」


「ああ。怖い」


クルーガーは、紛争地域で生まれたそうだ。

両親もすぐに他界したそうだが、唯一の肉親である姉と必死に生きてたんだと。

だが、こいつが15の時、姉が目の前で敵に殺されて。

怒りと絶望で正気を失って、とにかく目の前の人間を殺し尽くした。


そう聞いてる。


「心配すんな。もしお前がまた正気を無くしても、俺や俺の仲間がぶん殴って止めてやるから」


本当に出来るかって?

……いや、あんまり自信ない。

だってこいつ銃に関しては俺より全然腕良いし。

要するにただの強がりだ。


「……そうか。ありがとう」


そうこうしているうちに、3人は無事に王都から出ることができた。

検問所には、汗だくで豚の糞にまみれた警備たちが居たが、1人残らず眠りこけていた。

いや、あれは本当に済まなかった。

まあ、そういうこともあるさ。どんまい。


さて、どうしようか。

このまま戻っても良いんだが、まだ朝の5時半だ。

ハクも寝てるし。


「……あ、そうだ」


良いことを思いついた。


「どうした?」


「ちょっと見せたいものがあるんだ。行こう」


少し早足で、また歩き出す。


どこに向かってるかって?

そりゃあ着いてからのお楽しみだ。


普段は夜まで賑わうユリーディアの街も、さすがにこの時間じゃ静かだ。

ちらほらと見受けられる、朝早くから仕事に励む人たちに挨拶をしながら、目的の場所へ向かう。


街の南西へ。

ユリーディアの南西部には、平坦な草原が広がっている。

家畜の放牧に利用されていて、ケイジのお気に入りの昼寝スポットもある。

そんな場所にケイジが向かった理由。

それが。


「ふう。間に合ったみたいだな。ハク、起きろ。良いもん見れるぞ?」


「んう……おはよーにーに」


「おう、おはよう」


「にーにだって?」


クルーガーが新しいオモチャを見つけた大人のように、ニヤニヤとこっちを見てくる。


「おいやめろマジで。俺はロリコンじゃねえ」


「ねえにーに。ここどこ?」


目をこすりながらハクが聞いてくる。


「もうユリーディアの街だ。もう少し待ってな…………お、出てきたぞ」


「おお…………」


「わあああ‼︎ きれーい‼︎」


そこに出てきたのは、鮮やかな朝日。

この街を、この国を、この世界を明るく照らす太陽だった。

この世界は機械的な技術があまり発達していない分、ケイジたちがいた世界よりも空気が綺麗だった。

そのため、夜の星も、朝の太陽も向こうよりも美しく見ることができる。


「な。すごいだろ?」


目の前の大きな光に見惚れるクルーガーに声をかける。


「ああ……。日の出をちゃんと拝む事なんて、生まれて初めてだ」


そう呟くクルーガーの目は心なしか楽しそうだった。


早くクロメの所に行かなくて良いのかって?

まあ、ハクはもう安全だしな。

まだ早朝だし、いいんじゃないのか?

2人とも楽しそうだしな。


「おにーちゃん‼︎ すっごい綺麗だね‼︎」


「ああ、すごいな。とても綺麗だ」


「おにーちゃん、肩車して‼︎」


「か、肩車?」


「うん‼︎」


キラキラとした目で、クルーガーにそう頼み込むハク。

クルーガーは困りつつも楽しそうな顔をしていた。


はは、クルーガーのあんな顔、なかなか見れないぞ?

にしても…………。

あいつがおにーちゃんで、俺がにーにか。

これは、俺の方が上という事だな。間違いない。


って、おい待て。

なんでそんな目で見るんだ。

いつぞやのメルみたいだぞ。


ロリコンだろって?

いや、だから違うんだって。

違うけど、あれだけ可愛い子だからな。

仕方ないな。

うん、仕方ない。

お前らだって、にーに、とか、ねーね、とかって呼ばれたいだろ?


そうだろそうだろ?

だからいいんだよ。

たぶん。


「あはははは‼︎ 高ーい‼︎」


「楽しそうだな。」


「うん‼︎ にーにより高いよ‼︎」


「ブフッ‼︎」


無意識なハクの煽りに、意味を解したクルーガーが噴き出す。


「ぐっ…………。まあいいや。じゃ、そろそろ帰るか」


「うん‼︎ クロ姉のとこ行くー‼︎」


そうしてまた3人は歩き出す。


上り始めた太陽は、3人を暖かく照らしていた。


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