第18話・本心
「隠密スキルカンストさせた俺、異世界生活始めました」
第18話です‼︎
クロメさん、めっちゃ美人です。マジで。
よろしくお願いします‼︎
お姫様のお屋敷の前なう。
つかこれ宿じゃないやん。
何やってるんだあの姫さん。
さーて、どうしようか………。
何がって?
あの姫様にどうやって納得させるかだよ。
自分の姪が人間にさらわれたのに、それを助け出すのも人間なんだぞ?
普通だったら納得出来ないはずだ。
でもまあ、何とかして納得させないと、そもそも仕事に取り掛かることすら出来ない。
勝手に行けばいいだろって?
いや、それはダメだ。
俺の殺し屋としてのやり方に反する。
まあ今回は殺しの依頼じゃないんだけどね‼︎
そんな脳内トークを繰り広げていた時。
「ギルドの者だな。姫様は中でお待ちだ。入れ」
鬼と人間のハーフっぽい青年が言った。
なんかすごいカッコいいなこの子。
促されるままに屋敷の中を進んで行く。
ずいぶん広い屋敷だなおい。
宿の話はどうなったんだよ。
俺は人の家に住んでるってのに。
「この先が姫様のお部屋だ。真っ直ぐ進んで突き当たりを右だ。ここからは我々も入れぬ故、1人で行ってもらう」
なんだその箱入り娘みたいなの。
めんどくさそうだな。
ま、一国のお姫様じゃ仕方ないことか。
「分かった。ありがとう」
えーと、真っ直ぐ進んで………。
突き当たりを右。
コンコン、と襖の横の柱をノックする。
「ギルド フェアリー・ガーデンの者です。依頼の件で来ました」
ん?なんだ?
手助け?ハクって名前を出せって?
もしかしてそれって、攫われた姪ちゃんの名前か?
なんで知ってるんだよだから………。
まあいいや。使う時があったら言ってみる。
「ああ、ご苦労じゃったな。入ってよいぞ」
中からの返事を聞き、部屋に入る。
中にいるのは、ギルドで見た通りの美しい狐の姫だった。
「ほう、一体どんな命知らずが来るかと思えば、お主も人間ではないか」
クロメは興味深そうに言う。
「依頼の内容は確認済みです。同じ人間では問題が?」
「問題と言う程のものでは無いがの。よいのか? この依頼を受けるということは、同じ種族の者達を敵に回すのと同義じゃぞ?」
「全く問題ないですね。じゃ、俺が依頼を受けるということでいいですか?」
全く表情を変える事なく、淡々と話す。
「その前に一つ尋ねたい。よいか?」
「ええ。どうぞ」
「何故、お主は同じ人間を敵に回す事を気に留めぬのじゃ? そして何故、他の種族の者達と同じように、あの街で暮らしておるのじゃ?」
あ〜、やっぱそこは気になるか。
どうしたもんか………。
言って大丈夫かな?
転移して来た事。
大丈夫だって?そりゃまた何で?
可愛いは正義?
ああ、うん、分かったもういい。
「答えても構いませんが、俺にとってとても重要な事です。聞きたいのなら姫様のみでお願いします」
クロメはケージを見つめ、ニヤッとした。
「ほう、この依頼を受けに来るだけある。あやつの気配はそう簡単には気付けないはずなんじゃがな」
ああ、なんかさっきから部屋の前から誰かの気配がしてたんだよ。
おおかた護衛の誰かだろうが。
クロメが一度手を叩くと、気配は消えていった。
「失礼な真似をして悪かったのう。これで話を聞くのは妾だけじゃ」
「どうも。んーと、細かく話すと長いので要点を。とりあえず、俺はこの世界の人間じゃありません」
「………どういう事じゃ?」
興味深そうで、かつ訝しげな目線。
「この世界とは別の、平行世界とでも言いましょうか、もうひとつの世界から来たのが俺です」
「ふむ………。続けよ」
「最初にここに来た時は右も左もわからず困ってました。その時に助けてくれたのが、ガルシュやミルさん、メル、テリシア。ギルドの仲間達です」
強く、靭く語る。
俺の、本心を。
「俺はこの街のみんなに救われてる。この街が大好きです。この世界の人間、いや、ヒューマンのことは聞いてます。みんなを傷つける奴は、俺の敵です。同情の余地もないです」
「なるほどのう……」
途中からは特に考えずに、思うままに喋った。
信用してもらうにはこれが一番だ。
と、その時。
クロメは突然ケージに頭を下げた。
「え、ちょ、姫様⁉︎」
なななななにしてるのこの人⁉︎
こんなところ護衛の人たちに見られたら俺殺されかねないんだけど⁉︎
「お主がこの街の民を大切に思っているのは、しかと伝わった。妾から、姫としてではなく、1人の友人として、お主に頼みがある」
「………聞きましょう」
「妾の姪、名をハクというのじゃが、ハクが攫われてからもう2日が経っておる。ハクは、妾の、とても大切な存在じゃ。」
そう語るクロメはとても辛そうだった。
「妾の国内ではどうする事も出来ぬ。もう、藁にも縋る気持ちでここまで来たのじゃ。だから、どうか、どうか」
クロメは、極東の国の姫は、ケージの服の袖を掴み、涙ぐんでこう言った。
「どうか、ハクを助けてくれぬか」
ふう。
良かった、信頼してもらたようで。
え?お前は藁みたいなもんだから大して期待されてないって?
なんだよ、久々に喋ったと思った途端毒吐きやがって。
それはそれで気が軽くていいじゃんか。
そしてケージは、片膝をついて言う。
「しかと承りました」
古臭いって?
いいじゃんか、カッコよくて。
さあ〜て、いよいよだぜ。
ようやく、俺のステータスをデフォルメからマイナスにする舐めた奴らに仕返しする時が来た。
「すまぬ、心から感謝する。そういえば、お主、名は何というのじゃ?」
「ケイジです。佐霧圭二」
「そうか。ケージよ、無謀な頼みだと言うことは百も承知しておる。どうか、頼む」
「大丈夫ですよ。安心して、待っていてください」
そう言って、ケージはクロメの屋敷を後にした。
本当に大丈夫なのかって?
ああ、大丈夫だと思うぞ。
むしろフィルカニウムの時よりよっぽど得意分野だしな。
準備を整えるため、ケージはテリシアの家に向かった。




