プロローグ
「隠密スキルカンストさせた俺、異世界生活始めました」
プロローグになります。
入りはシリアスに決めていくぜ。
よろしくお願いします‼︎
お前達に尋ねよう。
死、とは何なのだろうか。
人生を終えること。
生命活動を止めること。
天国へ旅立つこと。
人によって理解の仕方は違う。
正しい定義などあるのだろうか。
仮にあったとしても、それを全ての人間に納得させる事など出来るのだろうか。
死を恐れる。
それは至って一般的なことだろう。
格好つけて、こんな死に方も悪くない、なんて言ってるキャラはただのバカだと思う。
死んだら元も子もない。
本当に大切なもののためだと言うのならば、自分の命も含めて守りきらねば意味など無い。
自分が死んだら、それを1番大切にする人間はいなくなるのだから。
少し話が逸れたな。
何故こんな質問をするのかって?
それは、俺が死を運ぶ人間だからだ。
そう、俺は殺し屋だ。
クライアントの意向のままに、あらゆる人間に終焉をもたらす死のサンタクロースだ。
全く苦しませず、時には認識すらさせずに殺すこともあれば、死ぬほうがマシなほどの苦痛を与えて殺すこともある。
全ては依頼内容のままに。
俺は属さない。
世界に紛れるためだ。
よく分からないって?
まあ、理解する必要は無い。
標的を殺す時、俺の身体はただただ冷たい。
全身を冷気が駆け巡っているかのような気分になる。
寒い、と言ったほうが正しいかもしれない。
まるで自分が人間じゃなくなっていくかのように。
まるで標的と共に自分も死んでいくかのように。
それは日に日に強くなる。
そして今日もまた、俺は死を運ぶ。
紛れ、紛れ、入り込み、殺す。
「た、頼む‼︎ 金ならいくらでもあるから見逃してくれ‼︎」
このクソみたいな生活をしている中で、ある標的が俺にこう言った。
金?
そんなもの、何の役に立つって言うんだ。
金が銃弾を止めてくれるのか?
金がナイフを止めてくれるのか。
バカも休み休みにしろ、といつも言う。
金のためにこんなことをやっている訳がない。
だとしたら、何故かって?
それは、俺にも分からない。
ああ、分からないんだよ。
こんなことしなくても、生きていける。
それでも。
俺がやるしかない。
そう思っている。
そして俺はまた、地獄の鎖に縛られた幽鬼の如く、引き金を引く。