表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
暗澹色の迷宮(ダンジョン)は残虐かつ嗜虐な執念を潜める  作者: 屍兵長
第一章 理想を求めて
3/12

3.地獄への入り口

 




 かっこいいを求めるために、毎日朝から晩までダンジョンに潜った。

 その(かて)が身となり、俺は常人離れした身体能力を得た。

 探索当初は鼠型のモンスターにさえ手こずっていたが…


 今では一騎当千(いっきとうせん)

 ダンジョンで俺に敵うものはいなくなった。


 しかし、モテるためという目標は打ち砕かれた。


 ダンジョンとはパーティーを組んでないと、人とは遭遇することはない。だから独りの俺では誰も俺の力を見ることが出来ない。

 公言したとしても誰も耳を傾けてはくれないだろう。


 だから俺は、明日に控えた『六大帝国一最強者決定戦』で活躍する。


 これは全帝国の予選を勝ち抜いた強者18名が、とある場所でサバイバル形式で残りの者が一人になるまで戦う大会だ。

 最悪、戦死者も出るほど、過激で残虐な殺戮が行われる。

 まぁ、降参することもできるし、続行不能だと大会責任者が判断を下したら、大会から降ろされる。

 しかし、大まかには…


 ルールは特にないだ。


 唯一、殺人しても法に引っかからないステージなのだ。

 勿論、おれは覚悟できている。死ぬ、殺す覚悟だって…。

 少し身震いがしてきた…。おい、おい、俺がびびってるってか。ふざけんな。寒いだけだろ。

 俺は精神を落ち着かせる。

 この大会の本戦はステージが広範囲すぎるせいで、観客などはいないが、予選ではちゃんとした闘技場で戦う。

 本戦でもいい成績を残せば、脚光を浴びることになるだろう。

 だから、これに出て活躍すれば、直ぐに自分のことが広まるだろう。念願の夢が達せられるだろう。

 だから俺はこの四年間、ダンジョンに潜り続け、肉体を鍛えていた。


 四年に一度の大一番。

 千載一遇のチャンスを逃す訳にはいかない。


 そして、明日から予選が始まる。


 予選は六つの帝国によって分かれて行い、予選上位3名が本戦へ出場できる。

 俺の属している「アルヴォイド迷宮帝国」は名の通りダンジョンが盛んである。

 そのダンジョンを求め各地から強者が集うので予選を勝ち抜くのは至難の技だ。

 しかし、おそらく俺の力なら行ける。今までの努力が報われないはずがない。


 今になっては迷宮探索で困ったこともない。


 俺は決意を固め、明日に向け、またダンジョンへ行くのであった。




 *****




 出発前に、食料をいくら咀嚼(そしゃく)し、飲み込む。

 体力を付け、空腹にも耐えるようにした。


 明日は『決定戦』がある。


 だから前日は休むべきだ、とそうじゃない。

 俺は前日だからこそ、自らを鼓舞するためにダンジョンへ潜り、やる気を出すのだ。

 それが俺の真髄でもあり、歩む道に相応しいのだ。

 俺は念のため、いくらかの携帯食料と金を持参した。


 宿屋を出ると、早朝なのに、町は人で賑わっていた。

 これがこの町の日常だ。

 常にせっせと人が行き通り、東奔西走している。

 そして俺も駆け足で町から離れ、ダンジョンへと向かう。


 ダンジョンは、時によって出現する場所が違う。

 そのためまずダンジョンが現れると思う所へ向かうのだ。

 そして、何時もの機械を腰についている袋から取り出し、ダンジョンの居場所を捜索する。

 この機械は()への引力を探知することが出来、ダンジョンはそのような所にある。

「深淵」と付くほど奥が深く、底が知れないので、ダンジョンの入り口は引っ張られるような力が働いている。


 機械の指す向きに従って、草原を駆ける。

 微風が、草木を揺動させる。

 そして俺の髪もそれに(なび)かせられる。俺は手で髪の毛を抑えながら走った。


「快晴がよかったのにな…」


 晴れ舞台の前日の天気は重要だ…。うん、俺的には。

 そして、前方に鬱蒼(うっそう)とした森林が目に入る。


 大木に覆われていて、全く中が見通せない状態だ。


 荘厳(そうごん)な雰囲気があるが、どこか不気味だ…。

 その森林だけが真夜中みたいに、暗闇に包まれている。


 しかし、それでも俺は躊躇(ちゅうちょ)せずに入る。今日は長時間ダンジョンに滞在するつもりなので、俺はいつもより急ぎ足だ。

 森林の中は、太い幹の木が大量に地から生え上がっていた。

 走りだとそれに衝突しかねない。

 俺は歩行することにした。やはり、安全第一だ。


 森林に入ってから、200メドル(メートル)ばかり歩いたら、地面にある大きな漆黒の洞穴を見つけた。

 上から覗き込むが何も見えない。ただならぬ引力が生じている。

 すると、手元の機械がこの洞穴に大いに反応を見せた。


 これがダンジョンの入り口だ。


 ここからが異世界への通路だ。


 初めは、この暗闇からの(おぞ)ましい威圧感に気圧(けお)されたが、今となっては慣れた。


 俺は穴を凝視する。


 黒曜色(こくようしょく)の髪の毛の青年が目に入った。

 髪の毛は整っておらず、目には力が宿っていない。深淵(しんえん)な眼孔だ。

 それは俺の顔であり、俺の顔ではないような気がした。

 俺は自分の顔が嫌いだ。いつも嫌悪感が湧く。

 モテたいと思いながら、自分の顔を嫌いだと、元も子もない。

 はぁ…。(あき)れる…。


 しかし…鏡のような機能もあるとは、ダンジョンとは不思議で底が知れないな。

 俺もいつかはダンジョンの真相に迫りたいと、この時なぜか思ったような気がした。

 思ったのか…?まぁいい。


 俺は地から吸い込む洞穴に跳び込んだ。


 いつもより、引力が強力だった気がした…。


感想をくれると励みになります。

でも受験シーズン…書けるかどうかわかりませんが、がんばります。

一応原稿はある程度ありますが、結構加筆修正するつもりです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ