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プロローグ

 プリンセスギア。

 決して大手とは言えないが、根強い人気を誇るMMOの名前だ。

 種類としてはRPGにあたるのだが、プレイヤーである「機士」には戦闘能力がほとんどない。

 一応職業も存在し、様々な戦闘スタイルもある。

 けれど、どうしても決定力に欠ける事が多いのだ。


 だから戦闘では相方である「武姫」に全てを預ける事になる。

 この「武姫」は女性型限定で、しかしプレイヤーにより様々なカスタマイズを施す事が出来るようになっている。

 例えば、姿。

 例えば、装備。

 例えば、武器。

 例えば、攻撃モーション。

 デフォルトで存在するパーツや課金パーツも多数存在するのだが。

 しかし、僕を含むプリンセスギアのプレイヤーは偏執的と言えるほどのこだわり派が多かった。

 往年のスーパーヒーローのような衣装。

 更には巨大化して宇宙時代を戦いそうなロボット風の金属鎧。

 実在の格闘技のモーションを組み込むプレイヤーも多くいた。

 更には作った武器や攻撃技に自分の好みの能力や効果を(仕様の範囲内という限界はあるが)つけられる事も大きかった。

 自分の理想のキャラクターに理想の動きをさせて冒険できるプリンセスギアは多数のファンを獲得した。

 更にはゲーム内で自分の武器や技を販売できる仕様が出来ると、作成能力が不安な初心者も積極的に参加するようになった。

 自分の理想の冒険スタイルを確立できるというのは、似たようなものが乱立したMMO戦国時代の中では、それだけの強い魅力をもっていたということなのだろう。

 

 そして、僕は。

 恐らく人生で最後となるであろう、武姫の作成を終えたところだった。

 海のような深い青のツインテール。

 同系色で、少しきつめの青い目。

 白を基調とした半袖の上着と、その下のシャツ。

 半ズボンの下からは足元まで覆う黒い……なんていうのか分からないけど、ともかくそういう服。

 そして、青いラインの入ったハーフブーツ。

 大体で言えばそんな感じで、昔見た何かのアニメを参考にしながら作った自慢のキャラだ。

 武器もスキルも、完璧。

 あえて言うなら特撮ヒーロー風……だろうか?

 名前は……アリス。

 作成完了ボタンを押し、アリスのデータを保存する。

 そうするとアリスのデータが完成し、その姿とステータスが表示される。


名前:アリス


レベル:1

HP:430

MP:100


能力:

 攻撃15(+10)

 耐久10(+5)

 敏捷15(+10)

 器用10(+5)

 知能05(+0)

 幸運00(+0)


装備:

 闘神のガントレット

 闘神の衣

 闘神のブーツ

 闘神のブレスレット


セットスキル:

 ライトニングナックル

 ライトニングキック

 ライトニングアタック

 


「……ふ、ふふ」


 近接戦闘用の素体を元に、今まで揃えた素材をふんだんに使用。

 まさに僕的に最高の出来と言える。

 視界に映るアリスを見て、笑みが浮かぶのを止められない。


 ……本当に、便利な時代になったものだ。

 身体の動かないこの身でも、専用の機器を装着するだけで指1つ動かさずにゲームをすることが出来る。

 思考を反映し、仮想世界に入り込む「プレイギア」が開発されてから数年。

 医療用としても使用されるプレイギアは、長年動けないままだった僕に色々な景色を見せてくれた。

 でも、それももうすぐ終わり。

 何となくだが、僕には分かるのだ。


 きっと、終わりなんてそんなもの。

 この病室で、僕は終わる。

 願わくば……次の人生では健康な身体を。

 こんな所で終わらない、無敵の身体を。

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