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「愛」と呼ばせて

作者: 麻野 繊維

 好き。と気付いたのは、出会ってかなり経ってからだった。

「はぁ・・・」

「どしたの、久しぶりにそんな深いため息聞いたよー。」

 ころころと笑う友人。普通の容姿。可もなく不可もなくって感じだ。どこが好きか、と聞かれれば多分性格なんだろうけど、それもよくわからない。こんなこと言う自分も平平凡凡な容姿であるが、それは今は放っておいてほしい。友人の話に戻ろう。彼女は最近、彼氏が出来たようだ。正直気に入らないのは、誰にも言わない。ただ、嬉しそうに彼氏についての話をする姿は、微笑ましいし可愛らしい。

「なんでもないよ。なんとなく出ちゃっただけ。」

「ふーん?」

「それより昨日遊びに行ったんでしょ。楽しかった?」

「うん!おいしいケーキ屋さん見つけたんだよ!今度行こうよ!」

「やだよ。」

「なんでよ?」

「彼氏がいるでしょ。きっと嫌がるよ。」

「大丈夫だよー!雄君も大ちゃんなら良いよって言ってくれてるし。」

「そりゃ、随分信頼されてんな。」

「だって中学からの友達じゃん!私だって信頼してるよー!」

「そっか。ありがとな。でもケーキ屋は、」

「じゃあ、三人で行こう!ほんっとうにおいしいんだから。」

「・・・分かった。」

「うん!約束ねー!」

 かなり久しぶりになる出掛けの約束をとりつけて、嬉しそうに「彼氏に言っとくね」と言われ頷く。そして彼女は自分のクラスへ帰っていった。

 話の通り俺こと”大ちゃん”と、友人である彼女は中学で知り合い、甘いもの好きという共通点のおかげか、とても仲良くなった。偶然一緒だった高校で二年生の今も、おいしいものを見つけたら教え合っている。彼女に彼氏が出来るまでは一緒に食べに行くこともあった。今日のように彼女は誘ってくれるが、彼氏に悪いからといつも断っている。しかし、それだけが理由なわけではない。彼氏が出来た彼女を見て、自分の気持ちに気付いてしまったからだ。それまで友人として好きだと思っていたのに、急に恋愛感情だと気付いてしまった時から今まで、どうしていいかわからずに、戸惑ったままでいる。彼女には相手がいるんだから、この気持ちはそっと仕舞っておくべきなんだろう。今までの友好関係を崩すのも嫌だし。それでも、

「好きなんだよなー。」

思わず口に出てしまったが、休み時間の喧騒でかき消されたようだ。ほっと息を吐く。なんども仕舞おうと思ったし、捨てようと思ったし、気付かないふりをしようとした。でも、出来なかった。言葉通り、「しようとした」だけで、最後の最後で何か邪魔をして出来なかった。そうして俺の中には、ぶつける先のない想いだけが溜まっている。そろそろどうにかするべきだろう。約束の日に三人でおいしくケーキを食べるためにも。今日の強引な誘いに乗ったのは、自分の気持ちにけりをつけるためだ。

 そうだ、恋愛感情だからいけないのだ。ふとそう思った。見返りを求める感情だけに、蓋をして隠してしまおう。それなら自分の好きという気持ちにまで、手を加える必要はない。彼女の喜ぶ顔が好きで、彼女が楽しそうにしていれば俺も楽しい。見返りはいらないと思えれば、大丈夫。自虐的でもいい。今の関係が保たれるなら、このほうがいい。結局理由をこじつけて、気持ちをどうにかできない自分に嫌気がして、少し泣きそうになった。でもこうやって考えれば、ケーキはおいしく食べられそうな気がして、少し心が軽くなった。

 想ってるだけで、いい。本当は君が振り向いてくれるのが、一番いい。でも、そこは蓋をするから、この不安定で自分勝手な気持ちを、「愛」と呼ばせて。

読んでいただいて、ありがとうございます。

初投稿で、未熟すぎる文章ではありますが、楽しんでいただけたら幸です。


私の中で恋愛感情は見返りを求めるもの。

愛情は献身的で見返りを求めないこと。

と考えておりますので、少年の思想が理解できなかった方は(読んで下さった方みなさんだと思いますが)、ここでご理解いただけるとありがたいです。解りにくくて、申し訳ないです。


では。

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