第8話*メールのお誘い
あたし最近ヘンかなぁ・・・。
川崎のこと知りたいって・・・あたし何言ってんだか・・・。
「陸・・・なんかおかしいね。口説かれるよ」
「いや、そういう意味じゃなくて」
「反対はしないよ。でもヘンなとこまでいっても知んないよ」
「ヘンって・・・あたしがそんな口説かれるはずないじゃん。男嫌いだし」
「それを治すって川崎が言ってるんだよ。意味ないじゃん」
「あ・・・・」
「ま、陸が否定しないのも珍しいけど・・・いっか」
真奈美は物珍しそうな目であたしを見て、教室へ入っていった。
これが朝の登校時、あたしたちの会話だった。
教室に入ると予想したとおり、てかいつも通り、教室には川崎と北島がいた。
「啓!昨日メール送っといたのに何で返してくんねぇのぉ??」
北島は川崎の机に手を置いて、必死に訴えかけていた。
「きの・・・あぁ、だって女子5人とやってたから。女子優先〜」
「そりゃ〜ないだろ啓・・・。俺時間割聞いたんだぜぇ?俺のが優先だろぉ??」
「ゴメンさぁ。でもさすがに5+1は厳しかったんだって。疲れてたし」
「じゃ〜メールすんなよ!」
まぁ川崎らしいね女子5人って・・・あたしでもしないよそんな人数。
「お、陸ちゃんおはよう♪」
毎朝変わらない笑顔で北島はあいさつしてくる。
「・・・ぁ、ぉはよ」
あいまいなあいさつはこれでもあたしは慣れてきたという証拠。
前まではうなずくまでで済ませていた。
「なんかだんだん慣れてきたんじゃな〜い??もっと話そ〜よ♪」
あたしはすぐに首を縦に振れない・・・。
「じゃ〜メールは??」
「お、それいいんじゃない?」
川崎も賛成意見。
え?メール??あたし男子とやった事な・・・
「じゃ〜紙書くからぁ、陸ちゃんシャーペン貸してぇ♪」
小さな手のひらをひらひらさせて言うのでしかたなく筆箱からシャーペンを出そうとした。
「ぁ・・・」
小声で言うから聞こえないが筆箱には昨日川崎に借りたままのシャープペンが入っていた。
そういや借りたまんまだったんだ・・・返すの忘れてた。
あたしは別のシャープペンを出して北島に渡した。
「ありがと♪」
北島は究極のスマイルでノートの端にアルファベットを書き始めた。
「あー、俺も書くー!」
川崎がわりこむ。
「ハイ」
渡されたのはノートの端。それに無数のアルファベットが書いてあった。
「じゃあヨロシクね」
川崎が言う。
「え・・・ぇ・・・」
あたしは焦った。
「ん?どうした?」
北島は心配そうに聞いてくる。
「ぁ・・・ぃゃ、あたしから送るのかなぁ・・・って・・・」
川崎と北島は顔を合わせた。・・・考え中。
「じゃ〜俺にはお前から送ってよ」
川崎がねだる。
「陸ちゃんには俺から送るから安心して♪」
やっぱメールすんのぉ・・・??
「ん?お前、そんなに俺たちとメールするの嫌か?」
あたしの心の不満に川崎は気づいたご様子。
「え?そうなの??」
あわてて北島も聞いてくる。
「ぃや・・・そういうわけでも・・・」
あたしのあいまいな返事。
「んだよ〜ハッキリしろよなぁ。そんなだから『男嫌い』が治んねぇ〜んだよ!」
川崎のとどめの一発。
まいりました・・・。
「分かった。メール・・・するよ」
「じゃ〜陸ちゃんのメアド教えて〜♪」
あたしは仕方なくメモ帳に長々とした自分のメアドを書いた。
「とーぜん『男嫌い』を治してもらうんだからなぁ〜。当たり前だろ」
いつあたし『男嫌い』治してって言ったっけ・・・??
これはもうあたしは完全な『男嫌い』とわ言えないのでは・・・??
「じゃ〜今日もこれでおひらきってコトでまた今日の夜だなぁ〜♪」
今日もってこの前はいつ集会したんだよ。
あたしは自分の席についた。席についても近くだからあんま意味ないけど・・・川崎は近い。
あとから登校してくる人も来て、授業が始まった。
授業中うわの空のあたし。
今日の夜がちょっと楽しみ・・・。
いやいや・・・なんで楽しみになるんだよ・・・。
この頃あたしおかしいからな・・・川崎のことで。
今日はどうすればいいんだろう、あたし。