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第7話*心の動き

「あ・・・あり??ペンケースがない・・・」







新学期が始まって2週間目。

あたしの愛用のペンケースが無くなりました。

ピンクに白の水玉模様。チャック式。中1からのお気に入り。

机の中を探ると固い教科書の感触しか手の甲に残らなかった。



「1時間目英語なのにぃ〜・・・」


あたしは半泣き。英語はもっとも多くのシャー芯を消費する。

幸いだったら教科書の発音練習だけで済むが昨日発音練習をしたばかり。

今日は書き取りだ。・・・・・・最悪。

こんな時に限って・・・。

しかも次は美術でデッサン。その次は数学で計算問題。

改めて、今日の時間割最悪・・・。


「陸さん・・・どうしたんですか?」


カバンの中を探したあげく、机の下にもぐりこんでまでペンケースを探しているあたしに声をかけてきたのは・・・あたしのすぐ後ろの席で“あいつ”の隣、倉木 夏海だった。

夏海は小学校5年生のころからクラスが一緒。でも夏海はあたしと一緒で男子とはあまり会話を交わさず、さらに女子にまでなので、あんまりまともに会話を交わしたことがない。


「あはは・・・ペンケース忘れちゃったみたいで・・・。今日結構使うのにさぁ・・・」


あたしが答えると夏海は自分の席に戻りペンケースを探った。


「あたしのシャープペン貸してあげます・・・」


右手でパンパンのペンケースの中を探りながら答えるが・・・


「あ、見つかりました。・・・あ」


夏海のあ然とした顔を見てあたしは不安を感じた。


「え?夏海?どした・・・」


あたしの予感は的中した。


「あたし、これだけしか持っていないんです・・・」


夏海のがっかりした表情。色白で栗色の髪をしたそんな表情は可愛い・・・。

でも大問題!夏海が持ってないなら他に声かける人なんていない!

あたしは周りをキョロキョロ見回した。

その時、あたしの目にはふと“あいつ”が止まった。


って、何で“あいつ”なの!?あたしが男子に借りられるわけないじゃん!!






『男嫌い』なのに・・・。





昨日の“あいつ”のことから頭が離れない。





“あいつ”があたしの体に触れた―――――――



   男子とも会話も交わせないあたしの体にあいつが――――――



       記憶は覚えてない。でも、温もりがこの腕に残ってる。





              あたし・・・“あいつ”の・・・





「陸さん!!」


ハッ!!


あたし何自分の世界に行って・・・てかもう1時間目始まっちゃう!

あたしはもう我を忘れて床にシャープペンの落し物がないか必死に探した。




すると突然だった。





カチャンッ。




あたしの目の前にはピンクのシャープペンが落ちてきた。




「!!」


あたしはとっさに顔を上げた。

そこにはひじをついて目であたしを見下ろしている“あいつ”、川崎 啓がいた。


「それ・・・使えば?」


ご丁寧にシャープペンには一緒に消しゴムと定規、赤ペンがゴムでくくりつけられていた。


「・・・!」


「・・・何?使わないの?」


両手で“それ”を持ってひざついて黙っていたわたしに“あいつ”は手を伸ばしてきた。


「つ・・・使うよ」


あたしは自分にも聞こえないくらいの小さな声で答え、首を横に振った。


キーンコーンカーンコーン・・・。


ギリギリ・・・セーフ。




英語の時間は予想通り単語の書き取り。

美術は飽きるというほどの時間でデッサン。

数学は頭が痛くなるほどの計算問題だった。

ようやく4時間目の体育になって更衣室に着替えに行こうとしたときは肩の荷がおりていた。


「あれ?陸ちゃん体育やって大丈夫?」


「うん、もう体調は大丈夫だし――――・・・!!」


今あたしは誰と話していましたか?


「うっわぁ〜!初めて陸ちゃんと会話しちゃった!」


『感動』という言葉を背中に背負って目を輝かせていた・・・北島。


「!!」


あたしはとっさに口を押さえた。


「これからももっと話そうよぉ〜??」


あたしはちょっと距離をおいて大きく何も言わず大きくうなずき・・・逃げた。



「あ〜ぁ、いっちゃった」


北島は残念そうに頬を膨らます。川崎はそれを眺めていた。


「・・・バカ?」





体育は飛び箱。あたしは運動神経はいい方なんだ!

マットでもバスケ・バレーでもこいって感じ!!

でも・・・長距離走は苦手・・・。

昔体操教室に通ってたから飛び箱の8段までは飛べてたんだ。

でも、それも小学2年生までのお話。

今は体が忘れてます・・・。



1・2・3組の体育は合同だ。

だから真奈美とも一緒♪


「あ〜陸飛び箱昔得意だったよね。何段飛ぶ??5〜8まであるけど」


あたしは迷う・・・迷いに迷った。


「6段いくか」


あたしは6段を飛ぶ人の最後尾に並んだ。


「あっれぇ〜陸ちゃん6段なんて飛べんの?意外だね」


お前が陸ちゃんって言うな!

あたしの次に並んできたのは川崎だった。


「運動神経は結構いいって聞いてるけど」


「ぁ・・・ぁたしだって・・・」


「ん?何?聞こえない」


「あたしだってこんくらいチョロイわよ!」


自分でも何を言ってるのか分からなかった。

それで前がいなくなったからあたしは走り出した。



そして軽がると・・・6段を飛んだ。


「へぇー意外とかっこいいじゃん」


川崎は陸の姿に感心して見ていた。


「じゃぁ俺もいっちょ行っとくか―――――――」


あたしは川崎の飛ぶ姿を見ていた。

縦向きの飛び箱の前方に手をついて、足を広げる――――と思ったが、

川崎は後頭部を手の間についた。


「え?」


川崎はそのまま倒立した。

そして腹筋を使ったのか、体をすぐ弧の字に曲げ、マットに着地した。


「おぉ―――――――――!!!」


川崎を見ていた人々から歓声が聞こえた。

その中には拍手も・・・。

川崎は余裕の表情で鼻を鳴らしている。


『えー?川崎ただのたらしかと思ったけどかっこいいとこあるじゃ〜ん』


周りの女子は関心。男子はちょっと悔しそうな顔。

でも・・・


「こらぁ〜!!川崎!誰がそんなこと指示したぁ!?開脚だけっていったろぉ!」


先生の怒鳴り声。


「俺開脚なんて楽勝なんですもん。しかもださいし」


川崎は余裕でかわす。

先生は川崎には何も言わなかった。

多分自分が川崎がやったこと手本にできないからだと思うけど・・・。


「どうだったぁ〜??俺のかっこいい飛び方♪」


得意げの川崎の顔はイタズラ大好きのガキンチョにも見えてきた。


「まぁ・・・いいんじゃない?」


あたしはあいまいに答えた。これでも頑張った方。


「何それ〜??喋れんならもっとハッキリ言ってよ〜」


「ハッキリッて・・・??」


「かっこいいとか♪」


・・・バカかこいつは。ホッント、噂通りナルシスト。噂ってスゴ・・・。


「・・・・・・」


「まぁ〜た黙ったぁ。っとに『男嫌い』だなぁ」


あきれた声で川崎は笑顔で言って、どこかの列へ消えた。

まぁ・・・消えたといっても他の列でまた会ったけど・・・。


でも・・・ただのかっこつけかと思ってたけど意外とかっこ良かった・・・。


しかも男子と話したのって久しぶり・・・。

しかも“あいつ”って・・・。

なんかあたし、あいつと話すの・・・嫌じゃないかも。

戸惑う時もあうかもしれない。でも、なんかいろいろ知りたい。





てかさぁ・・・




あたしあの・・・保健室の日あたりから・・・












あたし・・・なんか最近おかしくない??

感想・評価くださったら嬉しいです。今後の執筆の頑張りに、つなげられます。

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