最後に*川崎 陸 本気の恋のプロポ−ズ
あたし、神埼陸。
いえ、今日から川崎陸になります。
啓、川崎啓に出会ったのは中2の4月の始業式。
最初はモップ騒動から始まりました。
当時『男嫌い』だったあたしは啓の視線にいちいちびくびくしていたのを覚えています。
“あいつ”と急接近した唯一のきっかけは、学級委員でした。
あたしが決意を決めて上げた右手。でも、クラスのみんなの大半は、“あいつ”を見ていました。
だるそうに重い右手を上げて『俺、学級委員します』とか、驚いちゃった。
その分仕事はまじめにやってくれてあたしが足引っ張ってたみたい。
『男嫌い』がバレて、『その『男嫌い』、俺が直してやるよ!」とか、でかいこと言っちゃって・・・でも、すごくうれしかった。
メールも初めて“あいつ”とやって、でも『好き』と伝えるのは苦しかった。
それからだね。あたしの薄れてきていた『男嫌い』が大きくなったの。
『好きじゃないけど、だからって嫌いなわけじゃないんだよ!!』
あの言葉があたしの『男嫌い』を動かす言葉だった。
あたしはあなたに勇気をもらった。
無縁だったバレンタイン。
不器用に作ったマフィン。
“あいつ”にやっと渡せた。
喜んでくれてたかな?
でも、ホワイトデーに悪夢は起きたね。
あたしが意味を知らなかった『エンゲージリング』。
“あいつ”は形であたしに言葉を伝えようとしていたね。嬉しかった。
でも、あたなはその後、何もかも忘れてあたしを敵だと思ったね。
辛かったよ。
切なかったよ。
あたしだけ何もかも知ってるみたいだった。
啓の言葉1つ1つが凶器になっていた。
エンゲージリングの意味を知ったとき、あたしの心はどしゃぶりだったよ。
夏海を信じていたね。
夏海を彼女と思っていたね。
ホント、辛かった。
『協力する!!』
2度目もあたしの『男嫌い』に協力してくれるなんて、思ってもいなかったよ?
啓は、真っ白なままでも、ちゃんと心の中にいたんだね。
でもあたし、勝負負けちゃった。
勝負でキスなんて使えないよ。
無意識にあたしにあやまるなんて、涙が出そうになった。
でも、啓からもらったエンゲージリング、海からもらったものだと勘違いしてたね。
違うよ。啓からのものだよ。
あたし、啓が好きなの!!
啓は思い出してくれた。
あたしに、『好き』って言ってくれた。
わざわざ傷つけないために、ひどいこと言って自分から避けさせようとしていたんだね。
十分な優しさだよ。
・・・ありがとう。
「結婚しよう」
啓からのプロポーズから、ついにこの日が来た。
ふわふわの白い衣装。
ずっと、憧れていたウェディングドレス。
「きれいだ・・・」
啓の慣れた言いかた。
思わず笑った。
これかれは、ずっと、啓のそばにいれる。
大好きな、世界で一番、愛しい人のそばに。
啓、愛してる―――――。
Dear Love Proposeを最後まで読んでいただきありがとうございました。