表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
52/57

最終話*Dear Love Propose


『結婚しよう』




あのプロポーズから、3年が過ぎ、桜が咲く季節となった。














「―――――準備できたか?」


白いドアの向こうからおずおずとこちらを見てくる啓。


「・・・できたよ」


こんなに歩きにくいとは思わなかった。


ふわふわに包まれて、空に浮いている感じ。


ずっと、憧れてた。






「――――――きれいだ」


啓が見てつぶやいた。


その言葉にあたしは顔が火照った。



「ありがとう」







「川崎様。そろそろお時間ですよ」








今日からあたしは『川崎 陸』


真っ白な衣装に身を包み、儀式を挙げる。








思い起こせば今のこと。


桜が咲く季節に川崎に出会った。


最初の川崎は怖かった。


まぁあたしが“男嫌い”なだけだったけど・・・。



「陸」


「ハイ?」


「幸せにするからな」


「・・・ハイ」






あたしが今でも1番聞きたかったことがある。


『啓はいつからあたしのこと好きだった?』


ずっと疑問として残している。


そして今日、やっと聞ける。











「啓」


「ん?」






「啓は、あたしのこといつから好きだった?」









啓は少しためらって、少し笑みを浮かべた。









「多分、出会った時から」













――――――――――――――――――――――――――――










ミン!!遅刻するわよ!!」



「は、は〜い!!」


朝日がさんさんさしている。太陽の光がまぶしい。


台所に行くと朝ごはんの匂いが鼻に入ってくる。


「も〜、中学生になって早々遅刻するつもり?今日は入学式でしょ?」


「はぁ〜い。分かってるよママ」


あたしは食パンをほおばる。


「また遅くまでメールでもしてたんだろ〜??男子と♪」


「パパ!!」


パパは余裕そうに新聞を広げてくつろいでいる。遅刻するわよ!!


「だっ、男子となんてメールできるわけないじゃないの!!女子とよ!お・ん・な・の・こ!!」


「ど〜でもいいけどあんた遅刻するわよ」


「ゲッ!!もうこんな時間!?」


あたしはカバンをつかむと玄関に向かった。


真新しい制服に身を包んで真新しいカバンを持つ。


中学生の実感がぐんとわいてくる。


「い・・・行ってきま〜す!!」


あたしは返事も聞かずに家を出た。








「女の子とメールかぁ。陸も女の子としかメールしなかったのか?」


「もっ、もちろん!男子なんてとんでもない!明と同じようなもんよ」


「へ〜じゃあ俺が初めての男子だったんだぁ〜。なんか感激」


「今さら何よ〜」


「中1か・・・明にも、新しい出会いがあるだろう」


「そうね。あの『男嫌い』は治してきてくれるかしら」


「それが、どこの誰だか――――――」








「きっと、啓、あなたみたいな人ね」

















神崎陸は、川崎啓。あなたに恋をしてました。


『たらし』でどうしようもなかった“あいつ”呼ばり。


でも、本気であたしを大事にしてくれた。


傷つけたくないからって、わざと避けるようなことした。


それが十分な優しさだよ。


あたしには、それ以上いらなかった。


でもあなたはそれ以上にあたしを大事に・・・いや、愛してくれた。












昔の“あいつ”も、今の“あなた”も、愛してます。











**********Dear love Propose********END****















完結いたしました。


みなさんがどのようなことを思って読んでいただいたかは分かりませんが、陸と啓の恋の仕方を理解していただけたらと思います。


番外編も用意しようと思います。


『Dear Love Propose』を、今までありがとうございました。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ