番外編1*男たちの会話
少し本編とは見方をずらしてみました。まぁ続いてもいるんですけど・・・海と啓の陸に対しての会話ですね。
その日の5時間目の授業になると、あたしの疲労はピークに達していた。
川崎のでこチューの後の叫びで体力の50%は使い果たてしまった。
まだ川崎の唇の感触が額に残っている。あのやわらかさ、ぬくもりが・・・。
って、これじゃあたし変態みたいじゃん!!でこチューなんて嫌に決まってんじゃん!
「啓〜陸ちゃん俺狙ってたのに学級委員なんて一緒にやるなよなぁ!」
放課後の誰もいなくなった教室では正反対の体格の2人がいた。
「海・・・狙ってたのかよ」
背が高い啓、背の低い海。この2人が並んでいると兄弟にも見える。
机の上に座ると、座高の違いがすぐ分かる。
「大体さぁ、啓は楽な仕事とるっていってたじゃーん。それとも啓も陸ちゃん狙い??」
海の顔には合っている無邪気な笑顔が啓の心をついた。
「まさか、言ったろ?あんなお子ちゃま俺は本気じゃねぇ〜よ」
眉をゆがめて口の端をつりあげ、余裕の表情で答える。
「やっぱ、啓はルックスがいいからな。『たらし』にもぴったりだよ」
「『たらし』って言われんのは嫌いじゃないけど・・・男から言われんのは嫌」
「俺も啓みたいになろっかなぁ〜『たらし』」
「バァ〜カ、お前はまず身長伸ばせ!」
啓は海の頭をポンッとなでる。
「ほら、部活行くぞ」
「おぅ!」
2人は共にバスケットシューズとマイボール、カバンを持ち、体育館へと向かった。
音の違う足音だけが、誰もいない放課後の廊下に響いた。