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第28話*あやまち


俺はひたすら眠り続けた。


早く自分を誰だかを自分で思い出したかったから。


早く学校に行きたい。


そこに何かある気がする。


“自分”を見つけられる気がする・・・。





「っ・・・・」



まぶたが開いてしまった・・・。


今日はこのくらいでいいか・・・。



「あ、目ぇ覚めた?」


目の前にいるこの女子はおとといから毎日俺の病室に来ている女子だ。


「別に・・・」


俺は冷たくする事しか頭に無い。


こいつは俺の記憶をぬりかえようとしてるかもしれないから。


「聞くけど、お前おとといからずっと来てるけど、俺の彼女なの?」


そいつは答えなかった。


むしろ、答えたくなかったんだろう。


でも、笑顔をこじ作って俺に言った。


「あたしはそんなんじゃないよ」


それを聞いて俺はますますこいつに冷たくすることを思った。




関係ないんじゃあ関わっても無駄だ。





でも前の俺とは何かと関係があったらしい。


一緒に学級委員だっけ??


まぁそれは知らない奴ともやるだろう。


俺はそういうの、どうでもいい。






「川崎、調子はどう?」


俺のそんな気も知らずにこの女子は聞いてくる。


俺は底から腹が立ってきた。


「あのさぁ・・・・」


「ん?」


こんなことを言ったらたいていの女子、いや・・・みんな傷つくだろう。


でも、仕方が無かった。








「しつこいんだけど?あんたが俺の好きな奴だったら別だけど」






一瞬、彼女の笑顔は消えた。


でも、それはダメだと思ったのか、口元だけはつりあげていた。


目だけ、笑っていなかった。


「そ、そうだよね。ゴメンネ。じゃああたし、帰るから」





左手をひらひらさせた。


その時、薬指に銀色の光る物が見えた。


指輪・・・??


てかそれ・・・エンゲージリング??


何だ、ちゃんと出来てる人がいるんじゃん。


その女子は背中を向けてドアに向かって歩き出した。


肩が微妙に震えている。多分泣いているんだろう。



彼女は俺の病室から消えた。


少し、後悔した。


今になって何かなくしたような気がする。


前にもあったような気がする。




これは・・・気のせい?











その後、親友だったという“海”が来た。


俺に同情して涙を流してくれたけど、さっきの女子のことが頭から離れない。


なんだか知らねぇけど、これって俺らしくないんかねぇの?


海からは俺は前『たらし』だったと聞いたが全く覚えていない。


今日話されたのはそれだけだった。


あとはただのバスケの話で海は帰った。







もう来客は来ないと思った。


でも、『失礼します』と俺の病室のドアが開いた。






「啓、大丈夫?」







懐かしい気がした。


その容姿は一目ぼれしてしまいそうだった。


そしておとなしいしぐさでイスに座る。



「倉木 夏海だよ?」



でも、思い出せはできなかった。


何なんだ?違和感?この子は俺の何なんだ・・・?


そうすると、彼女は少し大きめの箱を俺に差し出した。




「あんたの好きなマフィン、わざわざ作ったんだよ?だから・・・はやくあたしのこと思い出してね」




俺はその目を見た。



つぶらで愛しげなまなざし。


俺は箱を受け取って開けた。


中には4つのマフィン。



「俺・・・これが好きなのか?」




「前もおいしいって食べてくれたじゃない」




一口、かじった。






「・・・おいしい・・・・」




彼女の笑顔は輝いていた。


俺はそれで確信してしまったのかもしれない。



「もしかして・・・俺が好きなやつって・・・お前なのか?」




彼女はもう1度笑った。



「そうだよ」




やっと思い出した・・・俺が好きな奴は、“夏海”だったんだ。









俺の心は、“夏海”に動き出した。





いきなりの夏海の登場。


そして誤った記憶・・・。


啓の心は夏海に動きだしてしまった。


陸はどうなるんでしょうか?


これからもよろしくお願いします。

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