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第16話*深刻な話

ガララッ・・・・・・。


「あ、陸ちゃん久しぶりだね。おはよ〜」


あたしは北島のあいさつを聞こえぬふりしてまた教室を出て行った。


「えっ??あれっ・・・陸ちゃん!?」


北島はあせった顔をしてただろう、あたしは泣いていたから。



――――――――――――――――――――――――――




「はよ・・・」


俺は陸ちゃんに対してあせっていた。

でも啓は平然とした顔で教室に入ってきた。


「おい啓!陸ちゃん泣いてたぞ!?何か知らねぇのかよ!?」


俺は必死で聞きかかった。啓はいつものだるそうな表情とは違ったから。

でも啓はそう簡単に答えない。下を向いていただけで黙っている。

俺はあきらめなかった。啓の肩をつかんでゆすってみる。

身長差はあるものの今はそれどころじゃない。


「あいつ・・・消えたと思ったのに・・・また元に戻っちまった。・・・前よりもひどく」


啓の眉はハの字型になり戻らない。

どうしたんだよ・・・。何が消えたんだよ・・・何が戻ったんだよ・・・。


「自然に消えたはずのに・・・『男嫌い』が・・・」


え?『男嫌い』??・・・が、戻っただけ?

なんだ、もっと重い病気かと・・・。


いつのまに俺の固い表情はやわらいだ。


「お前、安心してるだろ??」


うん・・・ただ単に『男嫌い』ってだけじゃん・・・。俺あんくらいだった『男嫌い』の陸ちゃんが良かったよ。


俺はうなずく。


「言ったろ?前よりもっとひどくなったんだ。話すどころか、今は顔さえ見れない」


・・・え?


「あいつの体は男子拒否だ。そばにいるだけであいつは壊れちまうんだ・・・」


何それ・・・そんな『男嫌い』ってあり??


「俺のせいなのかな・・・」


曇った表情で啓はうつむいて独り言を言った。


その言葉を聞いた瞬間、俺は啓を責めた。


「おい・・・それどういう意味だよ!?お前のせいで陸ちゃんがあぁなったのかよ!?」


もう一度、さっきより強く啓の肩をゆする。

啓はうつむいたまま俺にゆすられ続けた。


「分からない・・・俺、あいつに告られたんだ・・・」


俺は頭の思考がストップした。

告られた??啓が?陸ちゃんに?



一瞬、頭の中に陸ちゃんと啓のツーショットが見えた。


「それで・・・お前どうしたんだ?」


俺も曇るような表情で啓に問いかけた。

啓はさっきよりも深々とうつむき、そして答えた。







「断ったよ」







啓のあっさりとした声に俺は呆れた。


「何でだよ・・・お前ら俺が羨ましすぎるぐらい仲良かったじゃねぇか・・・」


啓は何も言わずに顔を上げない。


「俺はっ・・・啓なら陸ちゃん諦めようかと思ってた。でも少しは心残りはあった。陸ちゃんが啓が好きで無理で―――立ち直れるようなら良かった。また次を目指せるなら良かった。でも・・・なんで断って、陸ちゃんあんなにしたんだよ?可愛そすぎるだろ??『男嫌い』も、前の感じなら元に戻っても良かったんだよ・・・俺が治してやるから。でも、今は・・・陸ちゃん自体が全部否定するじゃんか・・・啓―――!!」


言っているうちに生暖かいものが頬をつたった。

俺は久しぶりに泣いていた。

人のことを思ってないていた。


目の前の視界は狭くて分かりずらかったけど、啓が顔を上げたのは分かった。


「俺はあいつをからかってるだけ・・・。本気じゃない。でも・・・何でこんなに切ねぇんだろうな・・・・・・」


啓の言っていたことは本当だった。演技じゃなかった。


何でかって?啓が泣いてるの、久しぶり見たから。



――――――――――――――――――――――――――



あたしは真奈美の教室に来ていた。


「もう、啓には近づけもできないんだね。良かったんじゃない?」


あたしは答えない。川崎に心残りはまだある。


体が小さく震えてきた。体は抵抗するけどやっぱりまだ―――――――。



「あたし・・・川崎じゃなきゃダメなんだ・・・。何でか知らないけど!あたしは本気で“あいつ”に惚れてんの!」


真奈美は目を丸くしていた。


あたしは勢いで机を拳でたたいていた。


「陸・・・あんた何で・・・」


「何で“あいつ”に惚れたんだろ・・・。いっぱい悪口言ってやりたいのに・・・『バカ』っていっぱい叫びたいのに・・・“あいつ”だから言えないんだっ・・・!」


近くに男子がいたわけでもないのに、あたしは泣いた。


感情を持ってないたんだ。




川崎の、想いに対して――――――・・・。



啓にも陸にもお互い心の隅に想いがあるみたい。

でも、啓にはつらい過去があった。

時期に、分かるはずです。

これからもよろしくお願いします。

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