第15話*復活
新学期が始まった。
肌寒い通学路を、あたしと真奈美は並んで歩いた。
交わす言葉がなかった。真奈美もあたしをなぐさめるのには無理なんだろう。
あたしの中では静かに、“あいつ”を忘れ、“アレ”がよみがえってきていた。
クラスの靴箱に向かう。シューズを下に落とした。
ボスッという音はなんか懐かしい。
ボスッ。
隣からも同じ音が聞こえてきた。
「えっ・・・」
顔を上げてみると、“あいつ”の横顔が見えた。
かわさ―――――――――・・・・・・。
心の中で声が止まった。
目も見開いたまんま。
背中に1本の棒が平行に突き刺さってるみたいに、背筋がのびる。
・・・・・・動けない。
そう思うと同時に、あたしの目からは涙が数的。
腕と足からは鳥肌が立つ。
何コレ・・・?
すぐにあたしは気づいた。
『男嫌い』の症状・・・でも、前よりもひどい。
川崎はあたしが見ていることに気づいた。
泣いてると思ったあたしを見て、川崎の目は丸くなった。
「お、お前っ・・・何泣いて・・・」
川崎のあせる顔。
心の中では見続けていたいのに、体が抵抗する。
「おい、どうしたんだよ・・・」
川崎は手をあたしの肩に近づけてくる。
「いやぁ!」
・・・・・・へ?
自分でも驚いた。あたしは、川崎の手をはたいた。
川崎は驚くばかりで何も言わない。
「あ・・・・あたし・・・・」
あたしが言いかけると、
「お前、『男嫌い』・・・復活したのか?それも・・・前よりひどく・・・」
川崎の声は抜けた声。
あたしの目には涙がたまるばかり。首を振るのも難しい状態。
黙ってあたしは教室へと走りぬけた。
川崎の後ろから叫ぶ言葉を、背中で受け止めながら。
陸の『男嫌い』が前よりもひどく復活してしまいました。
陸の失いかけた心から、川崎に対しての抵抗がより強くなったんでしょう。
これには川崎はどのような行動をみせるのでしょうか。
ご評価よろしくお願いします。