表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/57

第1話*クラス替え

あたしは男の子より女の子が好き。


中学1年生の2月頃になったら、周りの女の子はみんな好きな人のバレンタインの話で盛り上がっていた。


あたしは友達の『好きな人』の話を聞いて、うんざりしてた。



言えなかったけど・・・





『好きな人』って、やっぱり男の子なんでしょ??


男の子って、好きになんてなれるの??




“男嫌い”のあたしには、男子なんて、好きになれなかった。








「あ―――――――――!!真奈美ちがうクラスじゃん!」



それは、あたしの中学2年生のクラス替えだった。



“神埼 陸”の名前は3組に、“南園 真奈美”は2組にちょこんとあった。


「真奈美が一緒じゃなきゃあたし仲いい人なんていないよぉ!」


あたしは泣きそうになった。真奈美は昔からの友達で、小学校から中1までクラスがずっと一緒だった。今年も一緒って勘違いしちゃってさ・・・あたしは人見知りだったから、ほかの小学校からくる中学校では友達なんてとてもつくれなくて・・・。


「真奈美ぃ・・・絶対ムリなんだってぇ!真奈美がいないクラスなんてぇ!」


あたしはとうとう目の全体が曇ってきた。


「ふ〜ん。いいじゃんあたし以外の友達つくれるし」


『あたしは関係ありません』という風にそっぽ向いて気楽そうに答える。


「男の子とも仲良くなれるんじゃない?・・・彼氏とか」


真奈美の言葉が『反射』して大脳に渡らずせき髄へ走った。


「かかかかかかか・・・彼氏ぃ??」


あたしの目は回っていた。この13年間彼氏なんて考えたことなかった・・・。


「そんな驚くこともないでしょ!?中2になったら結構彼氏みんないるよ」


平然として答える真奈美に対してあたしは冷や汗だらだら・・・。


「そういやそうだった・・・あんたはまずその“男嫌い”を治しなさい!!」


格好良く決まっている真奈美に対して脅えてるあたしって・・・。


「ほら、もうみんな教室行ってんじゃん!あたしたちも行こ!」


真奈美はくつ箱に向かってあたしの背中を押す。


「えぇ!?あたし教室行っても誰も話す人なんて・・・」


あたしは抵抗して通学靴を地面に体の重みをまかせ、摩擦を起こさせた。


「ちょっ・・・ちょっと――――!!」






「じゃぁあたしはここだからね。ちゃんと女の子と仲良くなりなよ?」


あたしも2組の教室真奈美と一緒に入りたいよ。


「本当につらかったらあたしのとこ来てもいいからね?」


今すぐ行きたいよ。


「じゃあね」


真奈美は2組の教室に入っていった。


あたしはというと・・・3組の教室の前ですくんでいた。





「・・・・・・」


このドアを開けたら、友達になれる人なんている?


『彼氏』と呼べる人なんて、見つかるのだろうか?



ガララッ。



ドンッ!



ん?何の音?



あたしは教室に足を1歩踏み入れた。


ゴンッ!


「ごほっ!」


あたしの顔面にはドアを開けた勢いで掃除道具の扉が開き、モップの持ち手があたった。


「いっ・・・いったぁ・・・」


あたしは半泣きで鼻の頭をさすった。


「何してんの?」


あたしは顔を上げた。鳥肌が立ち、泣き目になってきた。




それは1人のクラスの男子。



ワックスで立てたと思われるつんつんの黒い髪の毛。


学ランのホックは開けている。


細い目をしてあたしを見下ろしている。




・・・怖い。


あたしのこと、睨んでる?見ないで・・・怖い・・・。


あたしは目をそむけた。これ以上男子なんて見たくない!


「わ――――――――――――ん!!!」


クラス中がざわめいた。あたしはダッシュで自分の席を見つけ音を立てて座った。


クラスの視線があたしに一点に集中し、あたしはもう耐え切れなかった。





キーンコーンカーンコーン。


始業式が終わり、あたしは教室を飛び出した。


もう嫌だ、真奈美のとこに行きたい!


教室を急いで出ようとドアをい勢いよく開けた。


ゴンッ!


「ったぁ!」


また掃除道具からモップが飛び出してきて次は後頭部に直撃・・・。


ところどころではくすくすと笑い声が。


バカにした笑い方じゃなかったけどあたしはとても嫌だった。


「っもぅ!モップのバカ!!」


1人漫才を終えて教室をやっと出た。


それを、見ていた北村 海は、


「プッ・・・何あの子?おもしれぇ〜・・・てかかわいかったよな?啓」


海に啓と呼ばれた人物は帰ろうというそぶりも見せず、机にひじをついていた。


「別に・・・興味ないし」


「まぁ〜た、そう言って、この『たらし』。お前が1番初めに目ぇ合ってたじゃん」


「だって、たまたま掃除用具箱の近くにいただけだって」


啓はワックスで立てた、つんつんの黒い髪の毛をさわる。


「あんなの・・・ただのお子ちゃまだろ・・・」


啓は、前髪を上げながら、つぶやいた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ