老人の家
この前に投稿した『帰る場所』がありますが、オレの手違いで1〜3の部分がぬけていました。4から読んでしまった方には申し訳ない思いです。ホントに、すいませんでした。
〔これには、1と2をのせました。〕
一,夢
人がぼやけて見える。感じないが、涙がでているのかもしれない。
赤毛の…女の人が…あたしの手を引っ張った。家の外につれていかれた。
突っ立っているあたしの横には、道に仰向けに倒され、赤毛の女の人に押さえつけられている男の子が。暴れている。目には、涙が―――
二,ベルトーナ
きれいな満月が浮かんでいたのに、灰色の雲が月を隠していた。月明かりがないせいか、やけに暗いなぁと、クリスは空を見上げながら思った。
町の人々をおびえさせるかのように、犯罪が多い町、ベルトーナ。犯罪と言っても、盗みやスリなどのものだけじゃなく、殺しも毎日のようにあるほどだ。ほとんどが金のない人や身よりのない子供たちがやっている。クリスもその一人だ。まぁ、それも一人の老人にひろわれるまでの話だが。
石畳に靴が当たるテンポいい音を聞きなから、クリスは歩いた。
まだともっていない街灯を3つこえて、角を曲がると老人の家がある。屋根は薄いクリーム色で、ペンキがはがれてちょうど空と同じような色をしている。隣と隣の家の間にこじんまりと立っていた。
クリスは、かぶっていた黒のハンチングをとりそぉ〜っと、家の中に入った。帰るのが遅くなってしまったため、老人が怒っているかもしれない。きずかれないように二階の自分の部屋にいくことにした。音をたてないように歩く。
「クリス、帰ったのか?」
大きなボロい暖炉のある部屋から、老人の声が聞こえてきた。足音をたてていないつもりだったが、聞こえていたらしい。
「…は―い」
しかたなく、階段に一歩踏み出していた足をもどした。
上の階から、心配そうな顔が一つクリスを見ていた。あと3日で25歳になるラーグだった。来年には別の町で小学校の先生をやる予定だ。
ラーグも老人にひろわれた。一番最初に老人のところにきただけあって、老人の怖さはちゃんと分かっている。ラーグに向かって、クリスは大丈夫だというかのように、ニッと笑ってみせた。だが、その時クリスは
「どうしよう」
ということしか考えてなかった。
「ギム、何?」
わざと怒られるようなことは何もしていないかのような態度で話かけた。
「ほぉ、何ときたか」
ギム―老人―の顔は笑っていたが、目の奥からは怒っている感じがヒシヒシと伝わってきた。
「今、何時だと思ってるんだ?」
「午後9時32分です」
「なんだその態度は!わしは怒っているんだぞ。4時半までには帰って来いと言ったのに…」
ピリピリした空気があたりをただよう。たぶんそれはギムの怒りから発せられたものだろう。
そこに悲鳴に近い、かなりわざとらしい声が聞こえてきた。
「ギムゥ〜、なんかこのドア開かないんだ。ちょっと、来てよぉ!」
タニスだ!大柄なタニスが、困った顔をして2人のところに姿を見せた。さっきまで夕食を作っていたのか、エプロンをつけたままで。
「うるさい!わしよりお前のほうが力があるだろう。一人でなんとかせんか」
「でも、ホントに開かないんだ!お願いだよギム。僕を助けて!」
〔そのセリフ…かなりひいちゃうよ…〕
「…仕方ない。クリス、帽子を部屋においてこい。そろそろ夕食だ」
ギムがそう言うと、タニスはクリスにウインクをしてきた。自分のおかげで助かったんだぞ!とでもいいたいのか?まぁ、それでも助かったことに変わりない。
クリスは逃げるように暖炉のある部屋を抜け出した。
階段のところにラーグはいなかった。ギムの怒鳴り声が聞こえなかったんで、怒られるずにすんだことが分かったんだろう。さっさと部屋にひきあげたにちがいない。
最近のラーグは、勉強ばかりしている。小学校の先生になる試験には受かったというのに、まだ学ぶことがあるらしい。
ここまで長いのを読んでくれてありがとうございます!オレの文章能力だと伝わらないかなぁ〜…と思い、沢山書いてしまったんです。
次は、3の部分をのせたいと思うので、見てくれたらうれしいです。