無茶振り祭り
この度遊びに来てくれましてありがとうございます
少しのでも楽しんで頂ければ幸いです
「お前と百合根で核の一点同じ所を打ち抜け」
「関隊員と同じ所をですか?」
「あの核は堅すぎる。ただ当ててたって割れる強度じゃねーよ。現にあんなに打ち込んでほぼ無傷」
「まーな。でもさーー」
「できねーとかいわねーよな」
「一言もそんな事言ってないし。ただ、ちょっと時間かかる」
「そうですね。流石にそんなに簡単な事ではないので。周りも打ち込んでいるわけで、それに少しでも接触すれば外れてしまうし、一番はあの両手。あの手も装甲強固な感じですし、あれに払われたら核にも届かない」
「まあな。そこで陽谷」
「は、はい」
「お前はあの前に立って引きつけろ」
自分は一回深い溜息を吐く。
「いつもの囮ですね」
「お前の最大の取り柄だろ。十分に活用しないとな」
「はあ」
「その間に両側から関、百合根と俺との二箇所で核に亀裂を入れる」
「ふーん。で奈巳邇さんは一人でやるわけ?」
「できないようなら言わん」
「へいへいそうですかっ、じゃあその作戦ちゃっちゃとやっちゃいましょうか」
関は軽く肩を回した後、自分の横に立ち、ポンと一回肩を叩く。
「陽谷君。とりあえず君の囮っぷりにかかっているからよろしく」
「えっーー 」
叫ぶ自分に哀れみに近い視線を送り苦笑いを浮かべる。
「頑張れ」
「百合根さんーー」
「いつまで腑抜けた事いってんじゃねー。さっさと行け、陽谷っ。そうだなーー なるべく広い場所…… ホール前のロータリー真ん中」
「は、はいっ」
まくし立てられるように自分は隊員達が標的にしているピエロを横目に指定場所へすぐさま赴き、陽刀を強く握る。するとピエロの動きが一瞬止まると、いきなり方向転換をした直後こちらに向かってきたのだ。いつもの個体より遙かに大きいせいか、威圧感が尋常ではない。一回生唾を飲み込む中、異形態は瞬く間に自分に近づくと、手を振り下ろす。自分は尽かさず避けると、もう一方の手が上から落とされた。アスファルトはその勢いで削れるのが確認できると共に、少し間合いを取る。
「ふうっ」
一回息を吐く。もっと苦戦すると思っていたが、自分が思っている以上に避けられる事に驚くと同時に半日前に対峙したピエロの事が頭を過る。
(奈巳邇さんの同僚の方が動き早かったもんな)
あの早さと刀の威力を目の当たりしたせいか、今の攻撃が遅く感じる上に避けられた事で、目の前のピエロに当初抱いていた威圧感が一気に削がれた。
(このまま、避けきるっ)
その間、三人は作戦通り弾を一カ所に集中させる手法を続けている。ただ、はやり難しいようで、思うように進まない。そんな様子を見かねて賀来倉が声を上げる。
「異形態の対処は現時点では四人に任せ、他の者は俳諧しているピエロを殲滅っ」
彼の声に徐々に隊員達が離れていく。
「流石副長官だわーー これで流れ弾妨害なくなるからちょっと楽」
関が少し嬉しそうに言いながら銃を打ち続ける。だが暫くして、今度は百合根が声をかける。
「流れ弾妨害はなくなったはいいけど、あの両手邪魔だな。しかも装甲本当堅いっ」
「おい、陽谷。囮だっていってもあの手どうにかしろ」
「え、やっと目が慣れて来たのに、それに何とかしろって、避けるぐらいで攻撃まではっ」
「はあ? 今コイツを相手してるのは四人しかいねーだからな。四の五の言ってんな」
「は、はいっ」
奈巳邇の檄が飛び、自分は改めて対峙する。案の定自分に的を絞り下ろされる手。地面に叩きつけられたタイミングで陽刀を振り下ろす。
ガツッ
鈍い音と同時に手が痺れる。刃先は確実に手を突いた。だが、表面に傷一つない。その後同等に刺してみるものの、結果は変わらないのだ。
(どうしたらいいだよっ)
気持ちが焦り始めると共に、思考がおいつかなくなってきていた矢先。
『陽谷っ』
三人の叫ぶ声が耳に届くと同時に目先には手があったのだ。
(あっ)
避けなくてはと思っていても、もう避けきれない。自分は目を瞑り、予想される衝撃に備える。だが、直ぐにでも来てもおかしくない、状況だったのにも関わらず自分は立ったままだ。周りも異様に静寂している。自分はゆっくりと目をあけた。すると目の前には白い物体。
(えっ)
視界が徐々にはっきりしてくると、思わず息を飲む。と言うのも目の前に半日前に対峙した例のピエロが立ち、腕の攻撃を陽刀で抑えていたのだ。
意味がわからず、立ち尽くす自分の前で、そのピエロは刀で手を凪払うと、もう片方から手の攻撃を、叩き落とす。すると、今まで傷もつけられなかった腕にヒビが入ったのだ。驚きのあまり、ピエロを目で追うと、その個体は異形態へと突入し、踏み切ると高くジャンプし真ん中の目を一差した。その動きは見入ってしまい、立ち尽くす自分の前に再度その個体は戻ってくる。するとこちらを向いた。間違いなく、例の個体のピエロだ。ただ半日前とは何が違う。こちらに何かを伝えたいのだろうか。するとうっすらと微笑んだように見えた。それは日頃のピエロが浮かべる無機質な笑みではない。思考回路が追いつかない中、尚もその現象は続く。というのも、そのピエロが異形態に攻撃をし始めたのだ。少なからず、相手は人工とはいえ同類の筈だ。だが、そんな事はおかまいなしといった状況で次々と攻撃をしかけていく。想像もしていなかった現象に自分等は勿論、周りにいた隊員達も息を飲む。
次回2月16日20時30分以降投稿
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