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本当ですかっ

この度遊びに来てくれましてありがとうございます


少しのでも楽しんで頂ければ幸いです



「はぁあ。息苦しいったらありゃしない」


 言葉を発すると同じくして、大きく息を吸った。


「なーにいつもあんなんじゃん」

「いつもって…… あんなの定期的にやってるっていうのが信じられないんだけど」


 呆れた表情を浮かべる自分を横目に、自分と肩ぐらいの背丈をしたアポロ色のクロークをゆったりと波打ちつつ、にんまりとわらう笑う父陽谷十郎の姿がそこにある。

 先ほど、二時間以上要した会議が終わり、解散したばかりという状況で、初めてあの会議に出席した息子が父に愚痴をこぼしながら、長廊下を闊歩していると言った感じだ。


「まあ、あれは慣れじゃな」

「慣れって…… 役所の人は本当空気みたいだったけど、あの向かい側にいたスターの面々からのあからさま過ぎる殺気にみたいな…… 暫く青色の服着れないや」

「あちらさんのイメージカラーだからしょうがないじゃろうが、色によって心理効果も働くから尚の事、空気が引き締まる感じはあるかもしれんな」

「そんな感じわかってながら欠伸してたよな?」

「そうじゃよ」

 

 ケロッとした表情をむけながら即答する父に、深いため息をつく。


「やっぱり、親父すげーわ」

「年の功じゃ」


 肩を竦める自分の方に視線を送りながら、様子を伺うようにじっと見つめる。その視線に気づき再度ため息をついた。


「何か言いたげだけど?」

「ホッホッホッ。お前にしちゃあ珍しく空気が読めるのう」

「こんな近くでガン見されれば判ります」

「そうかそうか。で? どうなのじゃ例のコンビの件は。お前と適合する相手は見つかりそうか?」

「峰山教師に聞いてみたんだけど…… それっきり返事がこない」

「そうなると自分で探す他ないぞ。聖令隊になりたいのなら」

「わかっているよ」

「日もないぞ。後一ヶ月ちょいじゃ。その間で解決できるような事ではないとは思うがの……」

「わかってるって言ってるだろ!!」


 急に足を止め声を張り上げてしまい、どことなく気まずい空気が漂う中、腕に付けていた時計が振動している事に気づき、時計を見ると、学園長からの呼び出しという連絡が表示された。


「じゃあ。俺行くわ」

「そうか。今日は助かった冥利」


 父が答え終わる少し前に自分は既に父の先を歩きだしていた。先の発言もそうだが、自分の無能さが招いた事だというのに、明らかに父に当たってしまった事が居た堪れなくなってしまったのだ。今回のこの会議に自分が呼ばれたのも、このまま行けば、聖令隊になるのは難しいと踏んだ父が、一ヶ月後他の職場でも異動が可能なように、あの場に同行させたのだと薄々判っている。

 もう18歳という成人する年齢になるというのに、こんな有様の自分が本当に悔しく、歯がゆい。だが目前に迫る、タイムリミット迄にどうにか手を打たなければ自分の夢はそこで詰みである。


(後悔はしたくない。やるだけの事はやろう)


 強く念じるように自分に言い聞かせながら、別棟の左右対称に当たる真反対の建物へと移動を終え、一階奥の部屋のドア前へと立つ。


コンコン 


 ノックの音が周辺に響くと、中から声があがる。


「陽谷冥利です。失礼します」


 挨拶と共に、ドアを開け一礼すると、部屋の中へと入った。


「お疲れ様でした。会議の出席はどうだったかね」


 大きな窓から日差しが入り、少し目を細める。先ほどまで暗がりにいたせいもあり、目がその状況においついていない。暫し立つと目も慣れ、部屋の全貌が目視することができるようになった。たっぷりの日差しが入る窓の前に大きな机。両壁には本棚と部屋の中央にはソファーセットが置かれ、学長室といった感じの室内の窓際に設置されている椅子に鎮座している人物に目を向けた。

 茶褐色の毛色をした短髪。少しくせ毛のせいかうねりがみうられ、色白の上50を等に越えているであろうにそれを感じさせない程のベビーフェイス。しかし、何故だがそこに口髭を蓄えている燕学園学長の波切プロパト。多少彼なりに童顔を誤魔化したいのかもしれないが、どことなくおもちゃの兵隊のようだ。ただ若かりし時は聖令隊所属で腕の立つ人物だったと耳にしていた事もあり、初対面で彼を目にした時のギャップに思わず言葉に詰まった。今も勿論その思いは変わらない。


(現役ってどんな感じだったんだろう?)


 会う度にどうしても聞きたくてたまらない。が、今は自分の事が最優先である。気を引き締めるように姿勢を整えた。


「はい。勉強になりました」

「そうでしかそれは良かったです。でね今日君を呼んだのは確か、陽谷君実践研修まだたったよね」

「はい。相手が未だ居ないので参加した事はありません」

「そうなんだよね。基本コンビ決まってから、現役の仕事に同行するっていうのが基本趣旨だからね。でも卒業まで後一ヶ月少々だし、この学園に入学したにもかかわらず一回も隊の経験がないとなると、卒業後もしコンビ組める相手できてもいきなりは大変でしょ? だから今回特例だけど一日だけ研修行ってきてくれるかなーー」

「良いんですか!!」

「うん。良いよ。それでね隊員になると陽刀って言うの支給されるのよ。まあその使い方とかは研修の時に教わるとは思うけど、今回はあくまでも研修だから擬刀ってこと。まあこれもコンビ組めないと支給して貰えない代物でね。あれ貴重だからーー」

「それは構いません!! 実戦に同行させてもらえるだけでもうれしいです!!」


 思わず一瞬嬉しさのあまり声が大きくなったものの、すぐさまその口を紡ぐ。


「学長」

「はい」

「こんな事学長に聞くことではないと重々承知なのですが…… どうして相手決まらないんですか? 峰山教師に聞いても言葉を濁すだけでハッキリと答えてくれなくて」

「人には適材適所ってあるし、ここを卒業したからって別に入隊しなちゃダメってわけじゃないのよーー 私が言うのも何だけど隊にいるより裏方の方が楽だし、それに……」


 その時一瞬学長の表情が曇る。が、瞬時にいつもの穏やかな表情へと戻ると共に、自分を見た。


「まあでも、そうだねーー 陽谷君の日頃の学習成績を見ても悪くわないのよ。運動神経ならトップクラスだしね。でもそれは学園だけの判断で聖令隊を統括する人達はそれより他の所重視したりするから」

「特化ですか?」

「そう特化。万人より遙かに超越した能力ね。ここに入学する時にそれなりには調べるんだけど、君の場合はっと」


 彼は机の上の液晶画面をいじり、空間に写し出された資料に目を通す。


「渇望ね…… 」

「はい……」

「うんーー やっぱり実戦では使える特化ではないっていうのがコンビ組めない原因かな。君の場合ある意味感情でどうにでもアレンジ出来る感じあるのよ。ただ、それ使えこなせないとか、未知数のとこあるでしょ。そういう不確定な特化よりも物理的な特化の方が望ましいのよやっぱり。君も講義受けてるから知ってるのは思うけど、ピエロって普通の人間よりかなり丈夫で強いのよ。そんな彼等とやり合える人材なんてほんのひと一握り。それはあちらさんも変わらない」

「スリースター」

「ご名答。結局、ピエロを殲滅出来るのって今は、うちとスリースターさんしかいないからね。それにお互いに有能な戦力を排出してるし、やっぱり隊には出したくないっていうのもあると思うのよ。だってそこに絶対に生死が絡んできちゃうでしょ。そうなると、自ずとどうすれば生死の危機を少しでも回避出来るかと考え導かれる答えは常人より高い身体能力は最低限必須。それに加えて特化の力で補う事が対ピエロには必要不可欠って事。その力が乏しいと、一人に負担が行き過ぎて二人とも下手すれば命が危ぶまれるわけだし」

「そう…… ですか……」


 あからさまに落胆する自分に彼は一回ため息をつくと、椅子からぴょこりと下り160センチ程度の身長で自分に近づき名を呼ばれた。だが自分はそれに反応する事が出来ずに立ち尽くしす。


「陽谷君」


 すると再度名を呼ばれると共に手招きをされた。自分は半信半疑で学長の背丈に合わせ背を丸めると、彼がいきなり両肩を思った以上の力で叩く。


「大丈夫!! この学園に入れたんだから君はなれるよ聖令隊に」


 自分の今一番気にかけていた事に対し明確に言い切った学長の言葉が胸に沁み、思わず涙が出そうになる。が、それを堪えるべく奥歯を噛みしめ乗り切り、目の先に立つ学長に視線を移す。


「はい。自分もそう信じて頑張ります」

「うん。その意気込み大事よ」

「ありがとうございます」


 自分は一礼すると学長は一回頷き、机に戻り用紙を持ってくると自分の前に両手の持ち差し出す。自分もそれに習い、両手でその用紙を受け取る。そこには辞令という文字と自分自身の名が書かれており、思わず鼓動が早まった。


「ではこれ辞令なので、これ持って聖令隊本部行って下さいね。支部は47都道府県あるけど、今日の明日だから関東の何処かに配属とは思うし、家か直行かなきっと。峰山教師にはもう話通してあし、早速明日なので、準備とか急いでしてね」

「わかりました。では自分これで失礼します」

「はい。気を付けて」


 学長の言葉を終わると同時に再度頭を下げ、学長室をゆっくり退室し、数歩足を進めた所で歩みを止める。そして渡された辞令をまじまじと見つめた。今まで欲しいと思っていた紙。これがあることで実戦に参加できるのだ。流石に相手がいないのに聖令隊の実践研修に参加出きるとは思っていなかったせいか再度胸が熱くなる。


「まだ、一ヶ月あるもんな。頑張りますか」


 用紙を見つめながらこぼした言葉に自分を奮起すると、前に視線を移し歩き始めた。

読んで頂きありがとうございます


1月2日20時30分以降投稿


日頃感想諸々お伺い出来ない為、

星、いいね!、感想(どんな些細なのでも構いません)

頂けると非常に有難く、励みになります。

もし宜しければ聞かせて頂ければ幸いです。 

またワンオペ作業の為、誤字脱字諸々有り読みにくい事があるかと思いますが


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