2-3 理解者の出現
その日の午後、隆は図書館で落ち込んでいた。実験は成功したのに、誰も理論を受け入れてくれない。
「田中さん?」
声をかけてきたのはエリーザだった。隣には見知らぬ少女が立っている。
「こちらはルナ・シルバーナイト。学院でも有数の天才と呼ばれる人です」
ルナは銀髪に青い瞳をした美しい少女だった。しかし、その瞳の奥には鋭い知性の光が宿っている。
「田中さん、今朝の実験、とても興味深かったです」
「あ、ありがとうございます……でも教授は認めてくれませんでした」
「それは当然です。あなたの理論は、この世界の魔法理論の根幹を揺るがすものですから」
ルナは隆の隣に座った。
「でも、私は見ました。確かに水は二つの成分に分かれた。そして再び結合した。これは従来の四元素説では説明できません」
「ルナさんは……信じてくれるんですか?」
「信じるかどうかではありません。事実です。問題は、その事実をどう説明するかです」
ルナは手帳を取り出した。そこには今朝の実験の詳細なスケッチと、考察が書かれている。
「あなたの言う『原子』という概念。物質の最小単位が存在し、それらの組み合わせで全てが構成されているという理論。これは革命的です」
「ルナさんは理解できるんですか?」
「理解したいのです。真理を知りたいのです」
ルナの瞳が輝いた。隆は初めて、この世界で理解者を得たことを実感した。
「教えてください、田中さん。その『原子論』というものを」




