10-2 仲間達の現在
その日の夕方、隆は久しぶりに仲間たちと集まった。学院の屋上庭園で、夕食を共にしながら近況を報告し合う。
「ルナさんは順調ですね」
隆はルナを見つめた。彼女は現在、新設された「統合物理魔法学部」の主任教授に就任していた。
「田中さんから学んだ量子力学を、この世界の人々に分かりやすく教えるのは楽しいです」
ルナの瞳は輝いている。
「昨日も、12歳の少女が量子もつれ通信に成功しました。この世界の子供たちの理解力は本当に驚異的です」
「エリーザさんも新しい仕事に慣れましたか?」
「はい!」
エリーザは医療魔法部門の責任者になっていた。
「現代医学の知識と魔法を組み合わせた治療法で、これまで不治とされていた病気も治せるようになりました。DNAレベルでの治療なんて、数か月前には想像もできませんでした」
セレナは新政府の魔法技術顧問として、世界全体の発展計画を策定していた。
「各地で自治都市国家が形成され始めています。管理者の統制がなくなったことで、人々は自分たちで社会を築き始めました」
「良い傾向ですね」
「ただし、問題もあります」
セレナの表情が曇った。
「一部の地域で、新しい技術を悪用しようとする者たちが現れています。特に、田中さんの核理論を軍事転用しようとする動きが……」
「やはり……」
隆は予想していた。どんなに理想的な知識でも、必ず悪用しようとする者が現れる。それが人間の性だった。




