9-6 新世界の誕生
集合意識となった隆たちは、暴走する核融合反応を完璧に制御した。膨大なエネルギーは量子もつれによって別次元に転送され、管理者のシステムには一切干渉されない。
『不可能だ!』
管理者たちが混乱している。
『次元抽出システムが……機能しない!』
「これで終わりです」
集合意識が宣言した。
「あなたたちの実験は終了です」
転送されたエネルギーが別次元で爆発し、その反動が管理者の本拠地を襲った。高次元存在といえども、自分たちが作り出したシステムの逆流には耐えられない。
『我々は……撤退する』
管理者たちが次々と消失していく。
『だが、これで終わりではない……』
最後の管理者が消える前に警告を残した。
『いつの日か、必ず……』
そして、静寂が訪れた。
集合意識が徐々に分離し、隆たちはそれぞれの個性を取り戻した。
「み、みんな……無事ですか?」
隆が最初に口を開いた。
「田中さん!」
ルナが隆に駆け寄る。
「成功したんですね。本当に成功したんですね」
実験室の外で、朝日が昇り始めていた。管理者のシステムが消失したことで、この世界の空には自然な光が戻っていた。
「これで……この世界の人々は本当に自由になったんですね」
エリーザが涙を流しながら言った。
「ええ、もうリセットはありません」
セレナが微笑んだ。
「7回の悪夢が、ようやく終わりました」
隆は窓の外を見つめた。新しい世界が始まろうとしている。管理者の支配から解放された、本当の自由な世界が。
物理学者田中隆の異世界での戦いは、ついに終わりを迎えた。
しかし、これは終わりではなく、新たな始まりでもあった。




