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9-4 最後の選択
「このままでは世界が……」
エリーザが恐怖に震え声で呟く。
その時、ルナが決然として立ち上がった。
「田中さん、私に考えがあります」
「ルナさん?」
「反応を完全に暴走させるんです」
「何を言っているんですか!それでは本当に世界が……」
「いえ、管理者のシステムも一緒に破壊されます」
ルナの提案は狂気じみていた。
「核融合反応を制御不能なまでに加速させ、管理者の次元抽出システムに過負荷をかけるんです。システムが崩壊すれば、彼らもろとも……」
「でも、それでは僕たちも……」
「覚悟の上です」
ルナは微笑んだ。
「少なくとも、この世界の人々は自由になれます」
「待ってください」
隆は別の可能性を考えていた。
「量子もつれを使えば……」
「何ですか?」
「反応系を量子もつれ状態にして、エネルギーを別次元に転送するんです。管理者のシステムではなく、完全に別の空間に」
それは理論上可能だが、実行は極めて困難な方法だった。
「しかし、そんな精密な制御を、この状況で……」
ヴィクターが首を振る。
「一人では無理です」
隆は仲間たちを見つめた。
「でも、みんなでなら……量子もつれによる集合意識制御」
「集合意識?」
「僕たちの意識を量子レベルで結合させ、一つの巨大な制御システムとして機能させるんです」




