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9-3 制御不能
核融合炉の中で、小さな太陽が誕生した。D-T反応によって生み出される膨大なエネルギーが、装置全体を光で包む。
「エネルギー出力、予想値の500%!」
ルナが叫ぶ。
「制御系統に異常!反応が加速している!」
「なぜだ!」
隆が必死に反応を制御しようとするが、予想以上の暴走が始まっていた。
「管理者のシステムが干渉しています!」
ヴィクターが原因を特定した。
「彼らは我々の実験を逆利用して、より大規模なエネルギー抽出を行おうとしている!」
『そうだ』
管理者の一体が告白した。
『君たちの核融合反応を触媒として、この世界の全量子エネルギーを抽出する』
「全量子エネルギー?」
『この世界のすべての物質、すべてのエネルギーを我々の次元に移送する。完全なる収穫だ』
隆は愕然とした。自分たちの実験が、逆に管理者の最終目的に利用されているのだ。
「みんな、実験を中止します!」
「だめです!」
セレナが叫んだ。
「核融合反応はもう止められません。制御系統が完全に乗っ取られています」
実験室全体が激しく振動し始めた。核融合炉から放出されるエネルギーが、空間そのものを歪めている。




