1-3 初級魔法試験
翌日、隆は他の新入生と共に魔法試験を受けることになった。試験内容は「基本的な火魔法の発動」だった。
試験官のレイナード先生が説明する。
「火の元素の性質を思い浮かべなさい。熱く、明るく、上昇する性質を持つ。その本質を理解し、魔力を込めて発動するのです」
他の生徒たちは手のひらに小さな火を灯していく。隆の順番が来た。
隆は深呼吸をし、四元素説ではなく現代化学の知識で火を理解しようと試みた。
「燃焼とは酸化反応だ。可燃物質が酸素と結合し、熱とエネルギーを放出する化学変化……」
その瞬間、隆の手のひらで異変が起こった。通常の生徒が作り出す火の十倍以上の炎が勢いよく立ち上がったのだ。
「な、なんだこれは!」
レイナード先生が驚愕する。他の生徒たちもざわめき始めた。
隆自身も驚いていた。化学的理解が、この世界で本当に魔法として機能したのだ。
「す、すごいです!まるで中級魔法師のような威力……」
エリーザが興奮して声をかけてくる。
しかし隆の頭の中では、さらなる可能性が広がっていた。もしも酸化反応として火を理解できるなら——
「酸素濃度を局所的に上げれば……」
隆は空気中の酸素の存在を強くイメージした。O₂分子が燃焼に必要であること、その濃度が燃焼の激しさを決定することを意識する。
瞬間、炎は爆発的に拡大した。試験会場の天井まで届く巨大な火柱が立ち上がる。
「みんな避けろ!」
レイナード先生が急いで防護魔法を展開する。隆も慌てて意識を切り、炎を消した。
「き、君!いったい何をしたのかね!」
「す、すみません……火の性質を深く理解しようとしただけなのですが……」
隆は冷や汗をかきながら答えた。予想以上の威力だった。
レイナード先生は困惑しながらも、隆の成績を記録した。
「理論的理解:S級、実用性:A級、安全性:C級……君は特別指導が必要だ」




