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7-2 初回実験
実験室に緊張が走った。隆は深呼吸をし、核融合の理論を頭に思い浮かべる。
「重水素核と三重水素核のクーロン障壁を越える……」
隆の手に魔力が集中する。原子核レベルでの精密な操作——これまでで最も難しい魔法だった。
「反応開始……」
容器内で微かな光が生まれた。核融合反応が始まっている。
「エネルギー出力は……」
ルナが計測装置を確認する。
「通常の魔法の1000倍以上です!でも制御されています!」
「成功だ……」
隆は安堵の息を吐いた。ついに制御された核融合を実現したのだ。
「でも、これはまだ最小規模です」
ヴィクターが警告する。
「管理者のシステムを破壊するには、もっと大規模な反応が必要だ」
「分かっています。段階的に出力を上げていきましょう」
しかし、隆の心の奥では不安が渦巻いていた。この力は本当に制御できるのか?一歩間違えれば……
「田中さん、大丈夫ですか?」
ルナが心配そうに声をかけてきた。
「ええ、大丈夫です。ただ……責任の重さを感じているだけです」
「みんなで支えます。一人で抱え込まないでください」
ルナの優しい言葉に、隆は心を打たれた。この世界で出会った仲間たちは、本当の家族のような存在になっていた。




