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6-5 敵の正体
「ところで、純血魔法師協会のことですが……」
セレナが口を開いた。
「実は、彼らも管理者の手駒の可能性があります」
「どういうことですか?」
「私が協会にいた時、上層部は『世界の純粋性を保つ』ことを使命としていました。新しい理論や技術を排除し、現状維持を図る組織として」
「つまり、実験データの汚染を防ぐための……」
「そうです。田中さんのような『想定外の変数』を排除するのが、真の目的だったのかもしれません」
隆は背筋が寒くなった。敵は思っている以上に巧妙で、強大だったのだ。
「でも、セレナさんはなぜ協会を裏切ったんですか?」
ルナの質問に、セレナは複雑な表情を見せた。
「私は……記憶の断片を取り戻していたからです。前のリセットの記憶を」
「前のリセット?」
「そうです。私は何度もこの実験を繰り返している。そして毎回、田中さんのような異世界の研究者と出会い、協力してきました」
セレナの告白は衝撃的だった。
「でも、毎回失敗していたということですか?」
「はい。核エネルギーの制御に失敗し、世界を破壊してしまったり、管理者に発見されて記憶を消されたり……」
セレナは涙を浮かべた。
「でも今回は違います。田中さんの知識は、これまでの研究者より遥かに高度です。きっと成功できる」




