6-2 世界の真実
ヴィクターの告白は、隆の世界観を根底から覆すものだった。
「この『エテリア大陸』は、高次元存在による巨大な量子実験場として作られた。住民たちはそれを知らないが、魔法という現象そのものが、量子場操作の実験データなのだ」
「そんな……」
「君の転移も偶然ではない。君のような現代物理学の知識を持つ者を、意図的にこの世界に招いたのだ」
隆は椅子に座り込んだ。あの実験事故も、すべて仕組まれていたということなのか。
「なぜ僕が選ばれたんですか?」
「君の実験——量子もつれによる情報転送の研究を、『彼ら』は観測していた。君の理論が正しければ、この世界の魔法システムをさらに発展させることができる」
ヴィクターは古い手帳を取り出した。
「私もかつて、君と同じ立場だった。異世界から招かれた物理学者として」
「あなたも異世界から?」
「1920年代のドイツから来た。量子力学の黎明期に研究していた物理学者だった」
ヴィクターの瞳に、遠い記憶が浮かんだ。
「最初は君と同じように、この世界の魔法を科学で説明しようとした。だが、研究を進めるうちに気づいたのだ。この世界自体が巨大な実験装置だということに」
「管理者たちの目的は何なんですか?」
「次元間エネルギーの抽出だ。異なる物理法則の世界同士を接続し、そのエネルギー差を利用している。我々のような『異世界の知識者』は、その実験を加速させるための触媒なのだ」




