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5-3 量子もつれの通信
「次は量子もつれを試してみましょう」
隆は二つの魔法石を用意した。
「量子もつれとは、二つの粒子が距離に関係なく瞬時に影響し合う現象です。アインシュタインは『不気味な遠隔作用』と呼びました」
隆は二つの石に同じ魔力を注入し、量子もつれ状態を作り出した。
「これで二つの石は一つのシステムになりました。片方の状態を変えると……」
隆が一つの石に触れて回転させると、もう一つの石も瞬時に同じ方向に回転した。
「距離は関係ありません。片方が変化すれば、もう片方も瞬時に変化します」
「これは通信に使えますね」
ルナが興奮して言う。
「その通り。従来の魔法通信よりもはるかに高速で、傍受も不可能です」
隆は片方の石をセレナに渡した。
「これを持って隣の部屋に行ってください。そして、思い浮かべた数字を石に込めてください」
セレナが部屋を出ると、隆は残った石を見つめた。しばらくして、石から情報が伝わってきた。
「7……いえ、3?」
セレナが戻ってきた。
「正解です。最初に7、次に3を思い浮かべました」
「完璧です。これで完全に秘匿された通信手段ができました」




