4-4 謎の美女
その夜、隆は一人で中庭を散歩していた。考え事をするには静かな夜の空気が一番だった。
「美しい夜ですね」
突然、背後から声をかけられた。振り返ると、見たことのない美しい女性が立っている。
黒髪に紫の瞳、完璧な美貌を持つ女性だった。年齢は隆と同じくらいに見えるが、どこか大人びた雰囲気を纏っている。
「あ、はい……どちら様ですか?」
「私はセレナ・ダークムーン。特別研究生として、この学院で学んでいます」
セレナと名乗った女性は優雅に微笑んだ。
「あなたが田中隆さんですね。最近、とても興味深い研究をされているとお聞きしました」
「興味深い研究?」
「原子論、でしたっけ?従来の四元素説を超える新理論だと」
隆は警戒心を抱いた。自分の研究を知っている人物がまた一人現れた。
「お詳しいんですね」
「ええ。実は私も、伝統的な魔法理論に疑問を持っていたんです。あなたの理論は、私の長年の疑問に答えを与えてくれるかもしれません」
セレナは隆の隣に立った。月光が彼女の美しい横顔を照らしている。
「もしよろしければ、今度お話を聞かせていただけませんか?私も何かお役に立てるかもしれません」
「それは……」
隆は迷った。確かに理解者は欲しいが、この女性からは何か得体の知れない雰囲気を感じる。
「考えておきます」
「そうですね。急かすつもりはありません」
セレナは微笑むと、闇の中に消えていった。まるで影と一体化するように。
「今の……本当に人間だったのか?」
隆は首を振る。考えすぎかもしれない。




