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1-1 魔法学院への招待
森で倒れていた隆を救助したのは、王立アルカディア魔法学院の生徒たちだった。リーダー格の少女エリーザは、隆の身なりから「他国の魔法使い」だと判断し、学院への同行を提案した。
「記憶を失ったのですね。それは災難でした」
隆は記憶喪失という設定で話を通すことにした。この世界の常識を知らずに変なことを言うより、安全だと判断したからだ。
魔法学院は、隆が想像していた中世ヨーロッパ風の建物だった。石造りの塔が空に向かってそびえ立ち、窓からは色とりどりの光が漏れている。魔法の光だと分かると、物理学者としての好奇心が疼いた。
「光の波長特性はどうなっているんだろう……」
「何か言いましたか?」エリーザが振り返る。
「いえ、何でもありません」
隆は慎重に言葉を選んだ。まずはこの世界の常識を理解しなければならない。




