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3-4 予想外の同盟
「田中君、君の理論を公式に研究する許可を与えよう」
隆は耳を疑った。
「え……本当ですか?」
「ただし、条件がある。研究は秘密裏に行うこと。そして、必ず実用的な成果を示すこと。理論だけでは意味がない」
「実用的な成果……」
「そうだ。君の原子論で、従来の魔法を超える何かを作り出せ。それができれば、学院も君の理論を正式に認めるだろう」
学院長は隆に古い書物を手渡した。
「これを読みなさい。500年前の先人の知恵が、君の研究に役立つかもしれない」
「ありがとうございます!」
「だが気をつけなさい。マーカス教授をはじめ、保守派の教授たちは君の理論を快く思っていない。特に……」
学院長の表情が曇った。
「『純血魔法師協会』という組織がある。彼らは伝統的な魔法理論の純粋性を重んじ、新しい思想を徹底的に排除しようとする。君の存在は、いずれ彼らの目に留まるだろう」
「純血魔法師協会?」
「この国の魔法界に大きな影響力を持つ秘密結社だ。彼らが動けば……君の身が危険になるかもしれない」