【激しい葛藤と、メェナードさんとの別れ②】
休日の日曜日、ベラルーシの高級アパートの自室で朝のシャワーを浴びたあとオートミルを食べながらナトーを暗殺するために、どのような手段を取るべきか考えていた。
最近私がハマっている食べ方は、スティールカットオーツを日本製の炊飯器で炊く方法。
鍋で煮るより圧倒的にモチモチの食感を楽しめて美味しい。
お米はカリーニングラードでも手に入るけれど、日本産の物はなくイタリアやスペイン産の物が多い。
もちろん日本の米人気や、お寿司の影響もあってイタリアやスペインでも高級品種のジャポニカ米を多く作られるようになったけれど、確かに日本米に近いモチモチ感はあるもののお米の味自体は薄い。
中東に居たときによく食べていたインディカ米は、米自体の味を楽しむ料理には不向きでカレーやピラフ、リゾットなどのように濃い味付けをしないと食べられない。
たまに中国産のお米も見かけるが、工場排水の影響で河川が変色して見えるほど汚染まみれで、産業廃棄物をそのまま埋めて処理しているうえに、霧が立ち込めるように見えるほど空気の汚染も激しい中国産の米や野菜などを口に入れるなんてことは論外だ。
しかも研究所で人工的に造ったウィルスを外に漏らしても平気で居られるように国連の担当責任者を買収して証拠を隠滅してしまう国の物なんて信用できない。
お互いの国同士の関係が悪くなれば、輸出用の食品にまた新型のウィルスを混ぜて送りつけて来るようなこともやりかねない。
それに米とは関係ないが中国政府は東北大地震で被災した日本の原子力発電所の放射能汚染水をとやかく言っているようだが、中国の原子力発電所は被災した日本の原子力発電所から排出される汚染水の6倍から7倍も多いトリチウムを排出し続けており、すでに中国近海では海産物が減少し他国の領海にも進取しなければならない状況に陥っているというのに呆れたものだ。
メェナードさんと一緒に日本へ行ったときに食べた、お米の記憶が強く残っている私にとってはやはり日本のお米が一番!
日本も減反などしないで、もっとお米を作って私たちに届けてくれればいいのにと常々思っているのに、なぜそれをしようとしないのかが不思議でたまらない。
とりあえず美味しくないお米を食べるのは私自身癪に障るので、炊飯器で炊いたオートミルご飯を食べている。
今朝のご飯は、グリンピースと少量の塩と日本酒を入れて炊いたピースご飯だ。
話を元に戻すが、アメリカ軍や多国籍軍を震撼させたグリムリーパーとしてのナトーの能力は今も健在であることは今回のザリバン高原での戦闘でも良く分かったし、更に進化しているとも思った。
カールは優し過ぎるから無理だろうし、クラウディ―はグリムリーパーへの復讐心が強すぎるからもっと無理だろう。
そして私にも。
死神は人間の力では倒せない。
それは何故か?
答えは人間には邪心があるから。
邪心のある者に、神のように純粋な精神を持つ者は殺せない。
神を殺すものは、神でなくてはならないのだ。
オートミールで作ったピースご飯を食べ終わり、日本のほうじ茶を飲んでいるところに電話が入った。
かけて来たのはメェナードさんの動向を探るためにフランスに向かわせていたクラウディからだった。
「どうした?」
「メェナードの目的が分かりました。ヤツはグリムリーパーと接触して取り込もうとしています」
なんと、メェナードさんはナトーを味方につけるためにスカウトを試みているのか!?
この報告は、私も驚いた。
だフランス支部の復活は、その目的のためだったとは……。
「分かった引き続き、調査を続けろ。くどいようだがグリムリーパーには、まだ手を出すな」
「……分かりました」
「それとメェナードさんの名前にはチャンと敬称をつけることを忘れるな。それと彼をヤツと呼ぶことも禁止する」
「しかし、どうしてですか?」
「強硬派とは言え彼は我が社の幹部だからだ!」
「すみません」
「以後、気を付ければ良い」
「承知しました」
会社の幹部だからというのは嘘。
パリでテロを起こそうとした幹部のジュジェイは呼び捨てにしていたし、ヤツとも呼んでいた。
しかし私の大切なメェナードさんを呼び捨てにするヤツは許せない。
たとえそれが私の側近だとしても。
やはり私は、メェナードさんを忘れられない。




