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***アンファミーユ第3部(En Famille Part 3)***  作者: 湖灯


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【復讐への炎】

 実の妹だと思い、こうして心配していたというのに、そいつが私からローランド・シュナイザーを奪った張本人だったなんて。

 しかもヤツは、ローランドの弟の居る外人部隊に、そして弟であるハンスの部隊に居る。

 自分がハンスの兄を殺したことなどまるで無かったように、平気な顔をして。

 ハンスに近付いた目的は一体なんだ?

 そして今回の、仲間に向けたやいばの意味は?

 子供の時から人を殺してきた女。

 外人部隊に入り、ハンスに近付いたのは、自らが殺した遺族の気持ちを観察してみたかっただけなのかも知れない。

 ヤツはハンスに近付き、やがて恋人として振る舞い、そして時期を待つ。

 時期とは彼の気持ち。

 ハンスの心が自分から離れられなくなった頃を見計らい、彼に本当のことを打ち明ける。

「私はグリムリーパー。アナタのお兄さんを殺した女。だからアナタとは一緒になることはできない」と。

 その様に言えばハンスの心は傷つくだろう。

 傷つき弱りはてた彼を、どう料理するか?

 自殺に追い込む?

 自殺と見せかけた殺人のトリックを考える?

 それとも彼を絶望の淵まで徹底的に追い込んだところで殺す?

 パラサイトなら十分あり得る。


 コンゴでは、ヤツは率先して少年兵を殺しまくった。

 ヤツが仕掛けた爆弾で、人間の形を失い肉片とも呼べない数えきれない内臓が散らばっている写真を見た。

 重機関銃で肢体が削ぎ取られた写真には、所々頭蓋骨が爆発して頭部のない死体もあった。

 部下に命じて敵の少年兵の宿舎を襲わせて全滅させ、更に狂ったように反政府軍を追い詰め、それはハンスが止めるまで続けられた。

 政府軍から反政府軍に寝返った将校の中に、タンタルなどの希少鉱物を隠し持っていたヤツがいたが、その希少鉱物は今も行方不明のまま。

 屹度ヤツが取ったに違いない。


 あの優しかったメェナードさんが、なぜ私のもとを離れてナトーの捜索に集中していたのか今ようやく分かった。

 メェナードさんは、ナトーの正体に薄々気付いていたに違いない。

 気付いていたからこそ、私にそれを悟られないように、私から離れた。

 メェナードさんは、ナトーがグリムリーパーである証拠を掴んだに違いない。

 だからこそ、ヤツを仕留めるために、この戦いを計画したのだ。

 ヤツをこの世から葬り去れば、私は未だ会ってもいない妹のために清い涙を流すだけで済む。

 実にメェナードさんらしい行動。

 しかし、そのメェナードさんが逆に殺されかけようとは、ヤツは本当のグリムリーパー。

 名前だけではなく、あきらかに煉獄からの使者そのものなのだ!


 数日後、ヤツが捕まったという知らせが届いた。

 理由は敵前逃亡とスパイ容疑。

 さすがグリムリーパー!

 あれだけ沢山の仲間を殺しただけでなく、余興まで楽しんでいたとは恐れ入った。

 ザマア見ろ!

 法廷でヤツの素性も全部明かされれば、おそらく最高刑が処せられるはず。

 フランスは死刑制度を廃止しているから、ヤツは刑務所で一生安穏と暮らすだけ。

 だがそんなことは許さない。


 私はアフガニスタンへ向かうことを決めた。

 目的はザリバンの首領、アサムと会うため。

 彼なら、ヤツの無実を証明してみせることができるはず。

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― 新着の感想 ―
 愛情が憎しみに変わる時は愛情があった分だけ残酷になるのですかね。  受け止めるにはあまりに大きな真実。  憎しみを抱く方が楽かもしれないですね。  
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