銀髪美少女が回復役!?こうなったら異世界楽しむしかないだろ!魔王を倒すまで目覚めるな俺!
(あー... ... 疲れた)
今日何回目か分からない、“疲れた”という言葉を、心の中で吐き出す。
昨日も今日も、そして恐らく明日も繰り返すだろう。
毎日終電ギリギリで帰宅。
仕事はもちろん終わっていない。
それでも寝に帰るためだけに電車に乗る。
通勤電車の座席の一番端っこに座って一息。
スマホのLINEの通知は、公式からか、母親からしかないので、チェックしても意味ないが、習慣なのか手が勝手にスマホを開く。
誰かいい人いないの?という、母親からのアラフォー独身男性にとっては禁句のパワーワードLINEを、華麗に未読スルーする。
心地よい揺れに、睡魔に襲われそうになるが、乗り換えがあるので耐えなきゃいけないのが辛い。
さて、乗り換えだ、と階段を上がって通路を通って、下り階段を降りる。
疲れからかめまいに突如襲われ、落ち着くまでうずくまっていたのだが、電車の発車メロディーが流れ、慌てて、
(これ逃したら終わりなんだよぉ!!)
と急いで階段を降りる。
が、踏み外し... ...
(人生終わったな。まぁ、それもいいか。来世に期待... ... )
目覚めると、一面黄色い花で覆われた花畑にいた。
「天国か。めちゃくちゃテンプレの天国だな。ひとまず地獄じゃなくて良かった」
と、背後から、何やら聞こえてきたんだが... ...
「そのもの藍色の衣に紅蓮の襟締をなびかせ
金糸雀色の野に降り立つべし」
後ろを向くと、杖を持ち、フード被った、これまたアニメテンプレの占い師姿の婆さんが、泣いている。
「伝説は本当であったぁ... ... 」
「御師様!この方が勇者様ですか!」
銀髪ロングの超絶美少女がおる!
(ちょい待て、勇者って?俺?)
辺りを見回しても、俺しかいない。
(藍色の衣に紅蓮の襟締をなびかせて、って紺のスーツに赤いネクタイって事?
金糸雀色って黄色だよな?じゃ黄色でよくね?降り立つべしって... ... )
「〇ウシカだ!」
「勇者様!〇ウシカ様!」
「俺は大輔だが... ... 〇ウシカは女だし」
「〇ウシカ様は、勇者様の伴侶でございますか?」
(〇ウシカが嫁か。ええなそれ... ... )
「俺には嫁はいないが」
「それは良かったです!」
銀髪美少女の言葉に俺はドキドキ... ...
(良かったって、どういうこと?)
美少女は、いきなり大きな剣を俺に渡してきた。
「これは、代々伝わる勇者の剣 ハルグランディアです。どうか魔王、エスパードドゥームを倒してくださいませ!」
「え?なんて?」反射的に受け取ってしまう。
「ハルグランディアです」
「いや、そうじゃなくて、勇者とか、エスパなんとかを倒せって」
「あなた様は伝説の勇者様です!どうか... お願いいたします... ...」
美少女の目から涙がはらりと落ちた。
(泣かないでくれ。男は美少女の涙に弱いのだよ。そう、きっとこれは夢だ。今俺は病院のベッドで昏睡状態なんだろう)
「分かった。必ずや倒してみせる!」
「勇者様!頼もしいです!」
羨望の眼差しの美少女。
こうなったら、RPGな夢を楽しもう。
この美少女は、ミレイユという名前で、回復担当として俺をバックアップしてくれるらしい。
チャラララーン♪
『こうして、勇者 大輔の旅は始まったのだった』
(え!?なんか空から音楽と声が聞こえるのだが。誰?)
「ミレイユさん、今、音楽とか誰かの声聞こえなかった?」
「何も聞こえなかったですが... ...」
(音楽とナレーションありの夢なの?もろRPG。昏睡状態の俺、まだまだ目覚めるなよ!)
どこかで聞いたことあるようなファンファーレが上から流れる中、俺は、スーツ姿に伝説の剣を背負った、なんともシュールな姿で、他の旅仲間がいるというギルドへ行くことになったのだった。
その数時間後、
「ふぅー... ... 随分遠くまで来てしまったものだ」
広大な黄色い花畑の真ん中で、紺色のマントに赤いスカーフを巻いている一人の男が、手で日差しを防ぎながら、空を見上げていた。
※こちら、ふと頭に浮かんだものを短時間で書いたので、文章が稚拙な駄作です。
今のところ一話だけとなります。
ここまでお読み頂きありがとうございました。