成長期と睡眠時間。
私は黒乃スイ。
ちょっと特別な能力を持っているだけの
普通の中学2年生だ。
私がこの能力に気付いたのは、半年前。
とある事がきっかけだった。
この能力がその時に
発現したのか、生まれつきなのかは
わかっていない。
同じように自分でも
能力についてわかっていない事は
たくさんある。
でもまぁ、そのうちわかるだろう。
今調べる必要はないな。
しかし...
暇だな。
日曜日か。もうすぐ13時だっていうのに、
何もしていない。
そもそも起きたのが11時半とかだったから
仕方ないのか。
いや違う。
もっと早く起きていれば、
もう少し優雅な
休日を過ごせていたのだろう。
しまった。
私ともあろうものが、
こんなミスをするなんて。
せめて9時、いや10時に起きていれば。
と、普通の人間なら後悔するのだろうが、
私は違う。
なぜなら時を戻せるからだ。
能力を使えば、早起きをすることができる。
え?
それはくだらないことじゃないのかって?
うるさい。
時間を有効に使うことは大切なことだ。
さて、何時に戻そう。
昨日寝たのは、
確か12時前だったよな。
最低でも8時間は睡眠時間を
確保したいから...8時過ぎでいいか。
時よ、戻れ。
戻ったか。
とりあえず時間を確認しよう。
“11:37”
「じゅういちじさんじゅうななふん...」
...は?
どういうことだ。
1時間くらいしか戻っていない。
なるほど。
私としたことが、戻す時間を
間違えてしまったのだな。
もう一度戻すか。
時よ、戻れ。
確実に戻した感覚があった。
時計を見てみるか。
“11:37”
おい、どういうことだ。
また同じ時間じゃないか。
なんで2回とも11時37分なんだ。
11時37分なんて、
私が今日起きた時間じゃないか。
...ん?起きた時間?
もしかして...
試してみるか。
“11:40”
今は11時40分。
ここで...3分だけ戻す!
“11:37”
よし!
今度は時間ぴったりだ。
となると、次は...
時よ、戻れ!
“11:37”
時計の時間は同じ11時37分。
といっても、
“11:37 ◯月4日 土曜日”
12時間前の11時37分だが。
思った通りだ。
どうやらこの能力で戻れるのは、
私の意識があった時間だけらしい。
それか、
意識が無いせいで
認識できていないだけで、
本当は戻しているのかもしれない。
まぁ、どっちでもいい。
とりあえず今は、土曜の夜だ。
明日後悔しないように、
8時にアラームをセットして寝よう。
「Zzz...」
“11:37 ◯月5日 日曜日”