13階段
⚪︎評価
10/10 点
⚪︎あらすじ(ネタバレ)
殺人の前科者の三上は、仮釈放により刑務所から出所。
三上は自身が殺した男の父親、佐村光男に謝罪する。佐村は三上を許しておらず、また三上も本当に自分が悪いのか疑問に思っていた。
刑務官の南郷は三上と共に、記憶喪失の死刑囚の樹原の冤罪を証明することに。
南郷にこの依頼をした人物は、弁護士の杉浦。報酬が高額なのは、杉浦もまた別の人物(物語の最終盤に佐村光男だと判明)から依頼されているからだ。
三上達が調べる事件の概要。
当時教員の宇津木啓介と、その妻芳枝は自宅付近でバイク事故を起こした樹原を発見。自宅に戻り電話をかけようとするも、自宅には刃物で刺殺された両親の遺体(耕平と康子)があった。耕平は元教員、現ボランティア、保護司。現場から預金通帳、印鑑、キャッシュカードが消えた。状況的に犯人は樹原だが、樹原が持っていたのはキャッシュカードだけだった。預金通帳、印鑑、凶器は発見されていない。
樹原の唯一の記憶「階段を登っていた」を信じ、三上達は階段を探すもどこにも見つからない。
杉浦の依頼人(佐村光男)が捜査から三上を外すよう言ってくるが、無視する。
耕平は保護司をしていたため、観察者記録があるはずだが、それがないことに気づく。犯人は保護観察者なのではないかという推論。
情状証人と面会して情報収集。
一人目は地元のホテルオーナー安藤。樹原、耕平の両名と面識あり。しかしこの時点では、前科を隠している。
二人目は樹原が働いていたビデオ店の店主、湊。樹原が当時「あのおじさんは人殺しだから」と言っていたことを思い出す。
そのおじさんは前科者で、後輩の世話になっていた。おじさんの助言で耕平の遺産について調べると、元教員では考えづらい額の貯金があったことが判明。
地元の知識人と面会。「階段」の手がかりを掴む。嵐で埋まったお寺に階段があったらしい。
捜索して階段を発見。その後、凶器と印鑑を発見。通帳は見つからず。
それらを指紋検査に出す。印鑑からは、三上の指紋が発見された。
三上は逃走。
南郷は双子の兄と入れ替わり、警察の尾行を巻いた。
不安に駆られた三上は、真犯人の証拠探しにお寺へ向かう。
南郷は逆探知を恐れのない電話を使うため、安藤のホテルの電話を使う。安藤に運転を頼む。
南郷達がお寺に着くと、別の車の音が聞こえてきた。
三上がお寺の仏像を破壊すると、中から既に見つかったはずの凶器と印鑑、そして預金通帳が出てきた。
安藤が南郷に、佐村光男が三上に襲いかかる。
南郷は安藤を殺す。佐村光男は偶然死ぬ。
三上は佐村光男に嵌められ、真犯人として陥れられるところだった。最初に出てきた証拠と、それについた指紋は、佐村光男が用意したものだった。
拘置所にある南郷の元に、佐村息子殺しの真相が書かれた、三上の手紙が届く。
結末まとめ。
過去の事件=安藤による強請りへの抵抗。被害者の耕平が保護司の立場を利用し、仮出獄の取り消しを理由に強請りをしていた。安藤は、当初から罪を樹原になすりつける予定だった。
現在の事件=過去の事件の犯人の冤罪を知った佐村が、息子を殺した三上に罪をなすりつけようとした。
三上の佐村息子殺しの真相=恋人を佐村息子にレイプされたため、復讐で殺すつもりが、偶然殺してしまった。
⚪︎感想
ミステリー小説として面白いし、そもそも小説としても面白い。素晴らしい一冊。
今まで私はなんとなく死刑賛成派だったが、この本を読んだ結果反対派になった。試験の執行時は刑務官が3人同時にボタンを押す、というのは知識として知っていたが、これは私が思っている以上の負担なのだと気付かされた。
通常、死刑の是非を問う際には、死刑囚の人権、あるいは被害者遺族の心情から議論されるだろう。しかし、そこに決着はない。今回私が死刑反対派になったのは、刑務官の負担が大きすぎることに気づいたからだ。
一体刑務官の何割がPTSDになっているのだろうか……。




