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1/8

名探偵に薔薇を

⚪︎評価



7/10 点



⚪︎あらすじ(結末までネタバレ)



第一部


『メルヘン小人地獄』=悪い博士が小人を材料に毒を作る。小人はハンナ、ニコラス、フローラに復讐。ハンナはつるす。ニコラスは煮る。フローラはむく。


主人公の宗一郎は、駅で謎の男に「小人地獄」について知っているか聞かれる。家庭教師先の奥様の藤田恵子は何か知っている様子。


後日家政婦の片桐房枝からの電話で、恵子の失踪を知る。すぐに恵子が死んでいたことが判明。現場には「ハンナはつるそう」の血文字。マスコミに『メルヘン小人地獄』が届けられ、見立て殺人だと判明

刑事の調査中に「小人地獄」が実在する毒薬だと知らされる。かつて、その毒薬で政界の大物等が暗殺されていた。「小人地獄」は証拠なく暗殺できるが、作成には嬰児が必要になる。


第二の事件発生。「ニコラスは煮よう」という血文字。被害者は国見という男。

藤田克人から相談。妻が残した手紙の内容について。

昔死んだ藤田恵子の実父が「小人地獄」の製作者であり、部屋にある砂時計の砂は、恵子の父が残した「小人地獄」だとわかる。


警察から、死んだ藤田の手紙の内容を知らされる。

藤田はかつて「小人地獄」の制作に関わっていた。恵子が殺されたことを知り、過去を思い出した。犯人は恐らく鶴田という男で、そいつは藤田と共に働いていたが、鶴田は「小人地獄」の実験台にもされていた。鶴田に毒を飲ませていたのは国見。

フローラ=鈴花の可能性が高い。


鶴田が見つかる。謎の男=鶴田の可能性が高い。鶴田は裏社会の住人で、ここ最近は落ち目だった。鶴田のアリバイ=国見の方はなし。恵子の方はあり、その時喧嘩で留置されていた。

鶴田が家に強請に来る。


宗一郎が名探偵の瀬川を呼ぶ。種明かし。


第一の事件の恵子殺しの犯人は国見。動機は復讐と、盗んだ「小人地獄」を換金すること。マスコミに『メルヘン小人地獄』をばら撒いたのは、「小人地獄」を世間に知らしめ価値を高めるため。

国見は藤田一家をハンナ=恵子、フローラ=鈴花、ニコラス=克人として殺す予定だった。

鶴田はその計画を乗っ取り、国見が恵子殺人後に国見を殺し、国見=ニコラスの見立てに変更した。動機はかつて国見に毒を飲まされていたことへの復讐と、裏社会で名声を取り戻すこと。



第二部



視点が宗一郎から名探偵の瀬川に変更。


ポットに「小人地獄」が入れられ、宗一郎の後輩の山中冬美が死亡。毒は全員のカップから検出。「小人地獄」は量が多いと苦くて飲み下せないが、山中冬美は味覚障害で気づかずに飲んだ。「小人地獄」を最も下手に使った事件である。


宗一郎は瀬川を呼ぶ。

鈴花の体調が悪い。克人は再婚している。後妻の恭子は鈴花と上手くいっていないようだが、夫婦仲はいい。

警察に行く。山中冬美がメンヘラ気質なことを知る。

宗一郎によると、後妻の恭子が書斎に入るところを見た。周囲を気にする様子で「小人地獄」を盗んだかもしれないと感じたとのこと。


第一の推理開始。

カップに毒を塗ったのは後妻の恭子。しかし、ポットに毒を入れたのは鈴花。

恭子の動機は鈴花が疎ましかったから。鈴花の動機は恭子を憎めなかったから。ポットに大量の「小人地獄」を入れれば誰も嚥下出来ずに死なないはずだったが、味覚障害の山中冬美を意図せず殺してしまった。

瀬川は鈴花に自首を推奨する。

山中冬美の妹から電話。冬美の脅迫を知る。冬美は宗一郎に恋心を抱いて「小人地獄」を盗み、鈴花を殺すと脅迫していた。目的は宗一郎と恋人関係になること。


第二の推理開始。

恭子がカップに毒を塗ったのは、鈴花の罪を軽くするための嘘。鈴花が冬美を殺した後、宗一郎に相談していたことを知る。

真犯人は宗一郎だった。宗一郎が鈴花を誘導し、毒を入れさせた。動機は鈴花を守り、自分の手中にするため。宗一郎は克人に見合いを勧められ、焦っていた。

しかし、全てを覆す事実が発覚する。山中冬美の妹が、瀬川に会った日よりも前に轢き逃げ事故にあっていた。ならあの妹を名乗る人物が偽物だったことになる。推理が崩壊する。


瀬川は藤田家に急ぐ。

鈴花が救急車で運ばれたことを知る。鈴花は脳腫瘍で、手術の成功確率は10%。最後に瀬川と話した鈴花は「小人地獄」を飲み、死んだ。


真実。

鈴花は瀬川に恋心を抱き、瀬川に会いたかった。

その為、意図的に「小人地獄」を大量に入れて事件を起こし、しかし誰も殺さないはずだった。しかしうっかり冬美が死んでしまった。

それを知った宗一郎らは、死ぬ前に鈴花の願いを叶えるため演技をし、瀬川を呼びつけたのだった。



⚪︎感想



『名探偵に薔薇を』のタイトル通り、探偵役に薔薇を渡したくなるくらい悲痛な小説。

あらすじには含めなかったが、鈴花は瀬川の妹に似ていて、かつ瀬川の妹は瀬川の推理によって死んでしまった過去描写がある。

それも合わせて、救いがないバッドエンド。


トラックについて。

第一部は、第二の被害者が第一の殺人の犯人というありきたりな展開。

第二部が本番だが、視点が変わった時点で宗一郎が犯人だとわかってしまった……と思いきや、全て演技だったというびっくりオチ。しかも演技をする理由も割と納得できたので満足。

ホワイダニットの傑作。ただし後味は悪い。

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