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短編

伝書鳩

作者: マルジン
掲載日:2024/08/27

キュッ――。


「よし行けッ!ジェームズ!」


吾輩は鳩である。名前はまだ……。


名前はジェームズ。


主につけてもらった、自慢の名前だ。


今日も朝日が眩しく輝く。

まるで吾輩の心を映しているかのようだ。


脚元の筒がギラギラしているだろう?

この中には、想いの詰まった(ふみ)が入っている。

これがまた、大層熱い想いなのだ。

感覚の鈍い吾輩の脚が、焦れったくなるほどにな。


バサリバサリ――。


うむ、あの家だ。

主が慕う令嬢の屋敷だ。


主の家から、おおよそ三時間。

わざわざ(ふみ)にせず、会いに行けばいいものを。


主は、よっぽど照れ屋らしい。

だからこうして、吾輩が届けるのだが。



おお、いたいた。

今日も美しい。


窓辺にもたれ掛かり、吾輩を待つあの女性。

毎度必ず、手ずからとうもろこしを分けてくれる、麗しの君。


ガラッ――。


ガラス窓が開け放たれ、吾輩は窓のふちに舞い降りた。


うむ、完璧な着地である。

きっと彼女も感動しているだろう。


ほら、やはりな。

彼女の細い指が、優しく背を撫でているではないか。


キュキュッ――。


銀の筒から(ふみ)を取り出し、綺麗に伸ばすと、熱心に読み始めた。


一文字一文字。

主が丹精込めて書き記した文章を、心に刻むように読み込む。


(ふみ)を読む彼女の横顔は、儚げであった。


返事を書く彼女の表情は、切なく愛おしい。


キュッ――。


「またお願いね。ジェームズ」


吾輩は、柔らかな手にくちばしを突っ込み、とうもろこしをついばんだ。


そして、主へと(ふみ)を届けるため、羽ばたく。


バサリバサリ――。


おっと、これはいけない。曇ってきた。

まるで吾輩の心を映しているかのようだ。


行きはあれほど体が軽かったのに、帰りはこんなにもどんよりしてしまうのか。


うーむ、恋というものは厄介だ。

主も大変であろうな。


「お帰りジェームズ。明日も頼むよ」


明日、か。


そうだな。


明日も(ふみ)を届けよう。

吾輩の想いと共に。

「残念ヒロインとギルドシェア爆上げ旅〜スキル【コールセンター】では知識無双もできません〜」


ファンタジーギャグコメディです!

下にリンクあります!

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