神
リアナさんたちに連れられ僕は学院の一際大きな扉の前まで来た。道中、リアナさんたちは緊張しているのか全く会話もなく来てしまった。学院の中はなんとも非現実的というかさっきの外とは違った清々しい魔素?というので満たされていた。
こんこん
「どうぞ。」
「······失礼します。」
リアナさんたちの後に続いて僕は部屋の中に入る。でも部屋に入った瞬間、違和感があった。
『条件を達成しました。ギフト:異教神たちの恩寵が発動しました。特性:神性無効の封印が解除されました。』
【あら、もう神性無効が開放されたのね。】
声がしたかと思うと目の前にとてもきれいな女性が浮いていた。
【綺麗だなんて嬉しいこと言ってくれるわね。】
プラチナブロンドの長髪に白銀の瞳、女神のような美しさとは彼女のことを言うのだと本能的に理解する。
【うふふ。やっぱり私程度の神性じゃあ無理かぁ。】
そう言うと女性が僕の首に手を回す。か、顔がとても近い。
【うふふ。記憶が封印されてるとこんなにも可愛いのね。ねぇ、お姉さんといいことしない?】
聞くだけで蕩けるような美しい声に体がむずむずする。
【············そこまでにしろ。アフロディーテ。】
すると突如、男性の声が響き体が重くなる。
【ちょっとー!急に入ってこないでくれる!?】
女性が何やら上に向かって叫んでいる。姿は見えないがとても偉大で大きな存在だ。
【いいから戻せ。】
【はーい。】
すると目の前の景色が変わる。リアナさんたちと大きな机の後ろには豪華な椅子に座った女性とその傍らにはさきほどのアフロディーテと呼ばれた綺麗な女性がいた。
「学院長、急な申し出を受けてくださりありがとうございます。そしてお久しぶりですアフロディーテ様。」
リアナさんが挨拶し、皆さんが頭を下げたので僕もワンテンポ遅れて頭を下げる。
「久しぶりね。リアナちゃん。」
「それで、その子が例の?」
学院長と呼ばれた女性が僕に目を向ける。学院長さんの周りには色とりどりの魔素が見える。リアナさんたちよりも濃く、たくさん。
『条件を達成しました。ギフト:異教神たちの恩寵が発動しました。特性:魅了無効の封印が解除されました。』
その時、またあの声が聞こえた。なんだか体が軽くなったような感じがする。
「ディーア。魔眼が出てるわよ。」
「あ、ごめんなさいね。つい。」
そういってディーアと呼ばれた学院長が目を少し覆い、1秒ほどするとその目は桃色からオレンジに変わった。アフロディーテさんはニヤニヤとしていた。
「報告書は見たけどもう一度あなたたちの口から説明してくれない?」
「わかりました。」