アース
「・・・・・・・・端的に言えばどうすることもできないわ。」
目の前に座る女性がそう言った。目覚めたあと、僕はある程度のことを聞いた。
僕の記憶の最後。家族により僕は岬から海に落とされた。その後、僕になにがあったのかわからないが暗い海の底で僕は今隣にいるリアナさんが率いるリアナ隊に救助されたらしい。海に落とされてから救助されるまでなにがあったのか思い出そうとしたが何か鍵のようなものがかかったように思い出せない。
「先生でもわからないんですか?」
「ええ。記憶に封印がかかってるっていうことはわかるの。でもその封印している術式がどの魔術系統にも該当しないのよ。まあ唯一の手掛かりはあなたたちが持ち帰ったあの魔法陣だけどね。」
「ということはこの子はあの神殿で記憶を封印されたということですか?」
「そういうことね。」
なんだかよくわからないが現状、僕の記憶は戻せないらしい。
「とりあえず他の目立った異常はないからここから出ても大丈夫よ。」
「わかりました。それじゃあ行こうか。」
「は、はい。」
僕はリアナさんに手を引かれて部屋を出た。
「あ、どうでした?その子?」
「ちょっと記憶が封印されてるみたいだけど他に異常はないって。」
「記憶封印?それってやばくないのか?」
「術式の系統があの魔法陣と似てるから解除は難しいって。」
「それは大変ですねぇ。」
部屋をでると見知らぬ三人の女性がいた。リアナさんと同世代?
「ああ。紹介が遅れたわね。この三人が私の隊のメンバーで右のオレンジのツインテールが副隊長のエリス。」
「よろしくお願いしますね!少年!」
「そして青髪ショートはナギ。」
「よろしくな!」
「そして黒髪の凛。」
「よ、よろしくぅ。」
「そして私が隊長のリアナよ!よろしくね!」
「よ、よろしくお願いします!」
僕は深々とお辞儀をした。
「うーん。ずっと少年だとあれですね。名前なんて言うんですか?」
「えっと名前は・・・・・・・・・・・アース。」
ふと思い浮かんだその名前を僕は口にした。
「アースくんね!」
「星の名前なんて珍しいですね。」
「将来大物のになったりしてな!」
「か、かっこいいぃ。」