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プロローグ 片田舎の異変

 


 ー君は無限に時間があったらどうするー

 中学の時の担任の言葉がふとよぎる。

 きっと僕なら、働かずにぐーたら過ごして悠久の時に甘えるだろうな。


 高校三年生。まさに人生の節目である。

 働くもよし、進学もよし、なんでもござれの進化元だ。

 なぜ人は生き急ぐのだ。もっとゆっくりしようよ。働きたくないが金は欲しい。人は矛盾を抱えて生きていくんだなぁ。

 

「...お....おき....おきろ!!」

 まだ重い瞼をこすりながら、身体を起こす。

 春の暖かさに誘われて、どうやら眠っていたらしい。緩やかな春。もう一睡しよう。

「おいっ!トキノッ!」

 半開きの目で声の主を捉える。

 こいつの名前は千葉敦。保育園の頃から高校3年まで、ずっと一緒だった所謂幼なじみだ。オレンジの髪がトレードマークの憎めないやつ。

 今日も今日とて元気で羨ましいやつだ。

「トキノ、もう放課後だぞ。」

 放課後か。そんなに寝てたのか僕は。

「すまん。寝てた。―でなんの話だっけ。」


「むっ、まいいだろう。とにかく帰るぞ。」

 少し不服そうな敦と下駄箱へ向かう。

 ×××××××××××××××××××××××××××××××

 学校を出て、チャリンコを転がし並走する。

 雑談混じりの下校。この光景もあと1年で終わりか。やはり就職は悪、はっきりわかる。

「しっかし最近物騒だよな」


「確か、猟奇殺人事件だっけか。しかも、死体は見るも無惨な肉片になって見つかるとか。まだ犯人捕まってないのか。」


 巷で噂の猟奇殺人事件。ここ、アシタバ市でおきている。死体はミンチ肉のような状態で見つかり、被害者の身元特定が難しいらしい。


「うぅ〜怖。こんな片田舎で物騒なことも起こるもんだ。」

「トキノ、お前も夜道には気をつけろよ」

 まるで脅し文句のようなセリフで僕に注意を促す。しかし、表情は真面目そのもの。本気で心配してくれているのだろう。


「あいあい、わかった。シンパイアリガトー。」


「まったく。こっちは心配してんのに。」


「じゃあ、僕はこれからバイトだから」


「おう、また明日な」

 心配性な敦に別れを告げ、スーパーのバイトに向かう。



 流れるお客さんを捌いて、接客から棚だしまで器用にこなしていく。フッ、労働など慣れれば余裕だぜ。

「だは〜ん。疲れたぁん。」

「トキノ君、お疲れ様。今日は上がっていいよ」

「はい、お疲れ様でした!!」

 疲れた体に鞭を打ち、体を動かす。

 田舎は街頭が少ないから暗くなるのが早い。

 壁にかかった時計を見る

「今は、21時か」

 急いで帰らなければ、母さんが心配するだろう。

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