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秋の匂い/ねこじゃらし/秋の歩幅
秋の匂いって
洗濯糊みたいな匂い
剪定された庭木の青臭い匂い
ペンキの溶剤が揮発する匂い
やっぱり
銀杏の匂い
一瞬
甘い匂い
少し焦げたような匂い
それに
乾いた鼻の中の匂い
* * *
ねこじゃらしが はえている あきち
いえ くさ じゃらし ねこじゃらし
じゃらし くさ かぜが ふく とり
ゆれる ねこじゃらし くさ だれか
ねこじゃらし ねこ くさ じゃらし
だれも いない いえ とり はねる
くさ ねこじゃらし じゃらし くさ
じゃらし ねこじゃらし はえている
くさ とり けはい じゃらし いえ
ゆれる くさ あきち ねこじゃらし
* * *
君の歩幅と
私の歩幅は違うから
君がどんどん歩いても
私は私で歩いてく
君がもし忘れ物をしたら
私の横を通って
君は来た道を戻ってくけど
私は君を待ったりしない
君がもし滑って転んだら
私も転ぶかも知れないけど
君の痛そうな顔を見て
私は少しほっとする
君がどんどん歩いていって
君の姿が見えなくなって
冷たい風が吹き付けて
私はきっと凍えるけど
君の歩幅と
私の歩幅が重なったら
君は少し暖まって
私は私の歩幅で歩く




