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火
火の詩を書こうと思ったけれど
そういう気分ではなかったし
古代の作り話とか興味ない
茶色の紙に並ぶ言葉たち
焚き付けにしてもいいけれど
そんな野蛮なことはしない
洞窟の中を照らしたものは
今や小さな箱の中
大人になった振りをして
綺麗な顔で笑って
私を見ているけれど
手懐けられたわけじゃない
巨人の肩の上からは
どこまでも見える気がするけれど
あなたの背丈は低いまま
短い両手 伸ばしても
指先は空を切るばかり
地面にだって届かない
魔法の箱を埋めた
無邪気な言葉の詰まったそれは
私の手には余る物
そっと野原の真ん中に
隠すでもなく置いただけ
あなたはきっと見付けられない
やがて箱は芽を出して
幼いままの歌声で
私もあなたも焼き尽くす
大きな黒焦げの彫像の
炭で何かを書くけれど
言葉は誰にも捕まえられない




