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時計と
射し込む光に音はなく
暗がりの奥を照らすだけ
それは古い太陽
わすれもの を 思い出す
ちく たく ちく たく
小さな迷路
ちく たく ちく たく
見慣れた入り口
ちく たく ちく たく
ぼーん
押し入れの中で さがしもの
ふるいもの たちに 囲まれて
絵本 教科書 図工の道具
クロッキー帳に描かれた
下手な自画像 見詰める
迷路の中
ちく たく ちく たく
大きな瞳
ちく たく ちく たく
ページをめくる
ちく たく ちく たく
時計が止まる
ち ち ち ち
巻き戻る
くた くち くた くち
紙の上で踊る
くた くち くた くち
うそっぽい線
くた くち くた くち
いつかの教室
もう覚えていない 視線
一つ一つ拾っても 意味なんてない
だけど無心で追い掛けて
ち ち ち く た く
白紙のページ
ち く たく ち くた
教科書の陰
く ち くた くち く
絵本の表紙
た く ち く た く
ぼーん
何を探していたのか すっかり忘れた頃
太陽が遠くなり 月が様子を見に来た頃
ぼーん
ちく たく ちく たく
時計は待っているけれど
夕日が呼んでいるけれど
私はまだ迷路の中で
座り込んで
一人で
見てる




