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【完結】誘惑のヴィクトリア~皇太子妃になりたくないので皇子以外を全力で誘惑します~  作者: 茄乙モコ
【第2章】嫉妬する女たち(恋心、意識編)
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第34話 彼女らの、そして彼の微笑み

ヴィクトリアが再び深い眠の中にいる頃、メアリーは一人王宮を去ろうとしていた。


というのも事態は急転し、メアリーの処罰はすでに今日の昼になされていた。

これはカティーサークが早急に判断を下したためでもあるが、何より事態を知ったメアリーの父ローズ侯が朝一に王宮に駆け付け、皇太子に慈悲を求めに来たことが大きかった。

おそらく昨夜のうちに彼女の侍女が早馬を使い実家に知らせていたのだろう。


真っ青な顔をしたローズ侯は俺に()()()()()()()()()()()()を救ってほしいと嘆願した。


皇太子に薬を盛ったとなれば重罪だ。

媚薬とはいえ、重い罪を問われることは間違いない。

良くて王都内の修道院送りと言ったところか…。

また兄ライリーは(だま)されていたとはいえ、妹に協力し企てに加担したことに変わりはない。今後もメアリーと兄弟であるということは、彼にその気がなくとも反乱分子としてみなさねばなるまい。

となれば彼もまた爵位剥奪か…。

しかしローズ侯はライリーに爵位を譲りたいのだろう。

そして俺はライリーは助けてやりたいと思った。



そこで俺はローズ侯に残酷な選択を迫った。


()()()()()()なら助けてやれる。」


それはメアリーを除籍し家族との縁を断ち切ること。そしてメアリーには罪人の証である刺青を胸に刻み、島の修道院に送ること。要は島流しである。

つまりライリーの不安分子を切り捨て、彼女にライリーの罪の分も被ってもらうことだ。

その代わりライリーには減俸処分という軽い罪にしてやると。




彼は悩んだ末、苦渋(くじゅう)の選択をした。




そうして、ライリーは助かった。


メアリーは胸に十字架と鎖をかたどった大きな刺青を入れられ、島の修道院に送られることになった。


今まで令嬢として育ってきた者にとって、これからはかなり厳しい人生となるだろう。

貴族という身分もなく、刺青がある女など嫁にする者などいない。

そして家族とも縁が切られ頼るところなどどこにもない。


しかし俺は彼女が今後どんなに辛い目に遭おうとも許すことはない。

俺に薬を盛ったことよりもヴィーを危険な目にさらしたことが許せない。

これがライリーでなかったらと考えると、今でも肝が冷える思いだ。


ただせめてもの慈悲としてローズ侯にメアリーと最後に話すチャンスを与えた。

だが、彼女は自分に下された処罰についても父親の決断についても何も言わず、ただ一言「兄に意気地なしと伝えてほしい。」とただそれだけだった。



そうしてメアリーは胸に彫られた刺青を隠すどころか見せつけるように、胸の大きくあいた豪華なドレスを着て馬車に乗った。


彼女は離れていく皇子宮を見ながら微笑んでいた。


「私が愛しているのは殿下ただ一人。これからも。」





♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦



「あぁ、見苦しい。」


派手なドレスを着たメアリーが馬車に乗るのを見てつい口が滑ってしまった。

モナルカは部屋の窓からその馬車を冷たく見下ろした。


メアリー…。

あなたの企みが何だったかはわからなかったけど、こういうことだったのね。


モナルカはキッと唇を噛んだ。


生温(なまぬ)いのよ、あなたのやり方は!

私だったらそんなやり方はしない!


殿下も正妃の座も渡さないわ。

もっと命を懸けてやらなきゃ…。

その覚悟があなたには足りないわ。


私はあなたのようにヘマはしない。

せいぜい余生を楽しむことね、メアリー。


ブルーグレーの瞳はもう馬車を追わなかった。

美しい水色のストレートの髪を一筋撫でながら彼女は微笑んでいた。



♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦



ヴィクトリアが再び目を覚ました時はすでに日が暮れていた。


私は一体どれだけ寝ていたんだろう。

ぼうっと部屋を見渡すとそこはまだカティーサークの部屋だった。


戻らなきゃ…。


私がゆっくりベットから起き上がり扉の方へ向かうと、後ろから声がした。


「どこへ行くんだ?」


私はドキッとして振り返った。

そこにはワイングラスを片手に笑みを浮かべる彼がいた。

私は昨日の自分を思い出して思わず目を反らした。


「あの…自分の部屋に戻ろうと。」

「何言ってるのかわからないな。ヴィーは部屋には戻れない。君も(ばつ)を受けなければならないだろ。」


彼はワイングラスを回しながら微笑んでいた。


「私の罰って…。」


あの時の…レイヴン侯の時と同じ目だ。

何で?

彼を受け入れたのに…。


「あるじゃないか。ヴィーは昨日この部屋に来ずにライリーと一緒にいた。命令違反だ。」

「それはっ。」


確かにそうだ。

私は(つみ)を犯している。

私は恐る恐る聞いた。


「罰って何ですか?」


彼のアクアマリンの瞳が鋭く輝いていた。

私の体の血がドクドクと波打っていた。

彼はワイングラスをテーブルに置くと、私に近づきキスをした。

そして()()()()()()()彼は言った。







「君は幽閉されるんだ。俺の部屋にね。」




私はやっぱり最後まで彼に(あらが)うべきだったと後悔した。

そうくるなら私のすることはただ一つ。


今度は自由のために(あらが)うしかないということを。



メアリー編はこれで完結です。

次からはモナルカ編へと行きます。

あとブクマしてくださった方、評価してくださった方、ありがとうございます!

単純に嬉しいです!いや、本当に。ありがとうございます。

では、引き続き今後の展開をお楽しみください。

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